夏雑感三題

暑さに負けぬ心を育てる

「心頭滅却すれば火もまた涼し」
昔の禅僧は、心の持ちようで苦しみを乗り越えられると説いた。夏が大好きな私は、この言葉を思い出しながら毎年暑さと付き合っている。

しかし、連日四十度を超えるような猛暑は、もはや精神論だけでは乗り切れない。気合も大切だが、命を守る知恵はもっと大切である。

そこで、私なりの「夏を乗り切る三題」を。

まず一つ目は、熱中症予防である。
昨年五月から九月までに、熱中症による救急搬送者は十万人を超えた。今年はさらに増えるのではないかと案じている。

最近学んだことがある。手のひら、足の裏、頬には「動静脈吻合」という特殊な血管があり、そこを冷やすことで冷えた血液が効率よく全身を巡るという。深部体温を下げるには理にかなった方法だそうだ。

もう一つ。冷たいものを胃に入れること。胃は心臓に近く、身体の内側から熱を和らげてくれる。私のお気に入りは三重県井村屋の「あずきバー」。今年は四億本の生産を目指すという。まるで凍らせた善哉を食べるような素朴な味わいが何とも良い。しかもアイスクリーム談合とは無縁。愚直に品質を磨き続けてきた企業姿勢にも拍手を送りたい。

二つ目は、身体を動かすこと。
私は毎朝、ラジオ体操を欠かさない。わずか十分ほどだが、第一体操に続き首をほぐし、第二体操まで行う。六時半という時間も実に良い。

岡本美佳さんの丁寧な指導、鈴木大輔さんの元気な掛け声も心地よい。夏休みの巡回ラジオ体操では、子どもたちの弾む声が日本中に響く。あの光景を見るたび、「日本もまだまだ元気だ」と嬉しくなる。NHK・Eテレでは六時二十五分から放送されているので、ぜひ一緒に身体を動かしていただきたい。

そして三つ目は、「暑さを敵にしない心」を持つことだ。人間学は教える。人は環境に支配されるのではなく、環境とどう向き合うかで人生が決まる、と。暑いから何もしない。暑いから動けない。そう決めてしまえば、身体も心も衰えていく。

もちろん無理は禁物である。休むときは休む。冷やすときは冷やす。水分も塩分も十分に補給する。そのうえで、一歩だけ前へ踏み出す勇気を持ちたい。

夏は人を試す季節でもある。暑さに文句ばかり言うのか、それとも工夫しながら楽しむのか。その積み重ねが人生をつくる。

「越えねばと思いし峰に辿り着けば、その先もまた山また山。」

人生も夏も同じである。厳しい季節を一つ越えるたびに、人は少しだけ逞しく、少しだけ優しくなれる。

今年の夏も、暑さに負けるのではなく、暑さと仲良く付き合いながら、元気に、上機嫌で乗り切りたいものである。夏雑感三題でした。Goto

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