たまには映画も。

踊る大捜査線、青島俊作59歳、走る走る

シルバーウィーク五連休の最終日。秋分の日。予定表を見れば、何も入っていない。
こんな日は珍しい。ならば、完全休養日にしようと決めた。

77歳になりますと、連休中のゴルフの連戦はさすがに体にこたえる。(ゴルフは休養ではないのか?)楽しくラウンドをしている時は元気でも、後からじわりと疲れが出る。無理をしてはいけない年齢になった、ということだろう。いや、年齢にかかわらず、自分の体と正直に向き合うことは大切である。(当たり前だね)

とはいえ、いつものように朝は早く起きた。好きな本に目を通し、いつものルーティン、ラジオ体操をして、ウォーキングに出た。休日にしか会えない仲間たちとも顔を合わせ、わいわいと楽しいひとときを過ごした。家に戻って風呂に入り、ふと、やりかけの仕事に目が行く。

「少しだけなら」と思ったが、いや待てよ。今日は完全休養日と決めたではないか。休むと決めても、仕事が気になり、つい手を出してしまう。これは老経営者の悪い癖かもしれない。しかし、休むべき時にしっかり休むことも、明日から力を尽くすための大切な務めである。

そこで思いついた。「そうだ、青島くんに会ってみるか」。

久しぶりに映画館へ出かけ、『踊る大捜査線 NEW メトロポリスを駆け抜けろ』を観た。映画もずいぶん久しく観ていなかった。娯楽映画なら疲れず、思い切り笑える。完全休養日には、なかなか良い選択であった。

『踊る大捜査線』は、ただ青島俊作が走り回る刑事ドラマではない。警察という巨大組織の中で、現場の正義と上層部の論理がぶつかり合う。あの名ゼリフ「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ」(和久刑事、いかりや長介)は、警察の話にとどまらない。どんな組織にも通じる。

会議は必要である。ルールも組織も必要だ。しかし、現場を知らずして正しい判断はできない。お客さまの声、地域の空気、社員が日々苦労している実情。その現実から目をそらして、机上だけで仕事を動かせば、組織は必ず弱る。

青島と室井慎次。現場の熱血刑事と、管理職として組織を動かそうとする男。立場は違う。しかし互いに相手の使命を理解し、認め合っていく。その姿に、この作品の魅力がある。組織は、上か下か、現場か本部か、と対立するためにあるのではない。それぞれが自分の持ち場で責任を果たし、同じ目的に向かうためにある。

今回の作品では、ネットやAIを使う若い警察官と、「足で稼げ」と言う昔気質の刑事との対比も印象に残った。AIもデジタルも大いに使えばよい。だが、最後に人を動かし、真実をつかむのは、人の情熱であり、相手の懐に飛び込む行動力ではないか。便利な時代だからこそ、青島くんのように汗をかき、現場を走る人間の価値は失われない。

少し気になったこともある。フジテレビがこの作品に込めた再出発への思いは、私には必ずしも明確には伝わらなかった。そして、恩田すみれの名が出ても、深津絵里さんが登場しない寂しさは残った。長年見てきた者にとっては、あの二人の物語もまた『踊る』の大切な一部だからである。

それでも、映画館を出る頃には、不思議と疲れが軽くなっていた。笑い、考え、少し胸を熱くする。映画には、心を休ませ、明日への力を与える力がある。五連休の最終日、完全休養日。仕事をしなかったからこそ得られたものがあった。たまには映画もいい。後藤だって、映画を見るんだよ。Goto

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