人が減る寂しさ

国勢調査が示す日本の姿、真剣に考えたい。

総務省が発表した2025年国勢調査の確定値によると、外国人を含む日本の総人口は1億2,297万2,528人。前回調査から317万3571人減りました。数字で見れば人口の減少ですが、その一人ひとりに暮らしがあり、家族があり、地域で交わした言葉や思い出があります。人が減るということは、そうしたつながりが少しずつ失われていくことでもあります。なんとも寂しい話です。

その変化は、高校野球にも表れています。この夏の地方大会では、142チームが複数の学校で連合チームを組んで参加しました。公式戦への参加が認められた2012年と比べ、12.9倍に増えたといいます。岐阜県でも、かつては見られなかった連合チームが、近年は毎年のように参加し、今年は3チームになりました。

学校の枠を越えて仲間を集めなければ試合に出られない。時代の変化を感じるとともに、少子化が子どもたちの身近な場所にまで及んでいることを思います。野球を続けたい生徒たちの努力を応援しながら、その背景にある現実にも目を向けなければなりません。

世帯の姿も変わりました。単身世帯は全世帯の41.4%となり、初めて4割を超えました。その中には高齢者の一人暮らしも多くあります。夫婦と子どもからなる世帯は、1985年には4割を占めていましたが、今回の調査では23.3%です。家族の形が多様になった今、男性が働き、妻子を養う家庭を標準とした社会保障の仕組みも、現実に合わせて考え直す時期に来ています。

結婚するかどうか、子どもを持つかどうかは、一人ひとりが考えて決めることです。ただ、結婚や子育てを望んでも、経済的な不安や仕事との両立の難しさから踏み出せない人がいるなら、社会の側にできることがあります。若い人たちに意識だけを求めるのではなく、安心して暮らし、働き、家族をつくれる条件を整える。その努力を社会全体で続けることが大切です。

富山市では、居住実態のない世帯を存在するものとして扱い、人口を水増しした疑いが浮上しました。人口が減ることへの焦りは理解できます。しかし、数字を取り繕っても現実は変わりません。人口の実態を正しく受け止めてこそ、必要な対策を考えられます。国勢調査は、現実を映す鏡です。

衆議院の定数を1割削減するという議論も、人口減少や一票の格差を踏まえれば、簡単には結論が出ないでしょう。定数を減らすことだけでなく、地域の声をどう国政に届けるのかも含め、丁寧に議論してほしいと思います。

人口減少を、統計や政治の数字だけの話にしてはなりません。私たちは、次の世代にどんな地域や国を渡すのか。自分の暮らす国をどうしていきたいのか。その問いを、それぞれが自分のこととして考える必要があります。

高齢者の戯言と言われるかもしれません。それでも、子や孫の世代を思えば、黙ってはいられないのです。国勢調査が示した日本の姿を前に、いま一度、真剣に考えたいと思います。Goto

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