パンからクラフトビール

ビールは夏の飲みモノではなくなったのでは……
季節はウソはつかないようですね。
10月に入ってから急に日の出が遅くなり、めっきり冷え込んできました。
以前、クラフトビールのことを書きましたら、尊敬する先輩から、
「呑んでみるかい」と色んな種類を頂きました。
ビールの概念は、(そんな大袈裟なものではありませんが)
「取り敢えずビールを」と食前酒として飲むか、「まずはビールで喉を潤してから」と
喉の渇きを潤すか、あるいはチェイサーとして飲むのが定番ですが、
クラフトビールは違います。ゴクゴクと飲むモノではありません。
色、香り、味など、じっくりと楽しんで飲むビールです。
頂いたクラフトビールも小ぶりなグラスで、チビリと味わうと
醸造者の顔や醸造地の風景が浮かび、日頃飲んでいるビールとは違う飲みモノになります。
日本ではクラフトビールといえば地ビールのこと……
1994年に酒税法が改正され、酒類の規制が緩和、
一定の条件を満たせば醸造できるようになり全国各地で誕生した。
しかし、製造者のイメージも大手メーカーの地域版という発想だったのでしょうか。
消費者も別物なので比較しても意味がないのに大手のビールと比べたのか。
地ビールは高くて、味がちょっとね、なんて言われ下火になった。
でも、あれから、20年以上の歳月が流れ、様々に研究されたんでしょうね。
その名のように、クラフト(職人の手作り)として、個性あるビールに変貌したようです。
クラフトビールは新たな酒類として定着してきたようです。
米国と並んでブームを牽引する……クラフトビールの本場、英国の話です。
その前に、クラフトビールの条件を整理します。
小規模であること。(日本の場合60KL). 独立していること(酒造メーカーの傘下でない)
そして伝統的であること(手作りってこと)が条件です。
ロンドン郊外でクラフトビールの小さな醸造所の話です。原材料がなんと廃棄予定のパン。
造り方は、パンを乾燥させて砕き、大麦麦芽、イースト、ホップ、水を加えてビールを仕込む。
えっと驚くことはない。紀元前4000年、メソポタミアやエジプトでは、
小麦のパンからビールを造ったレシピが残っている。
その醸造所はそのレシピを基に造られている。(英国内では他に15のパンでの醸造所がある)
英国内の食品廃棄量は年間1500万トンを超え、その内売れ残った4割強がパンです。
醸造所ではパン屋での売れ残り、製造者が捨てるパンの耳を集め原料にしている。
廃棄予定のパンでクラフトビールをつくり、食品廃棄の問題に一石を投じられれば、
ビール好きの英国人も新たなビール文化の創造として、大いに飲まれるであろう。
同醸造所ではパンで造ったビールの収益は全額、食品廃棄の解決に向けて活動する
市民団体に寄付しているそうな。
さすがにビールのメッカだと思う。
日本の食品廃棄は英国の比ではない。パンの廃棄がどの程度かはわからないが、
日本でも廃棄食品を原料にクラフトビールを醸造する人が現れても良いのではと思う。
Goto

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