水道料金、北海道夕張市6,841円。兵庫県赤穂市853円………この差は
水道哲学ってご存知ですか。
「企業は水道の水のように低価格で良質なモノを大量に供給することにより
物価を低廉にし消費者の手に容易に行き渡るようにする」
経営陣は物資を潤沢に供給することで物価を低廉にして消費者に恩恵をもたらす。
昭和の始め、経営の神様といわれた「松下電気(ナショナル)」現Panasonicの創業者・
松下幸之助氏が提唱した経営思想です。
昔から資源の少ない日本ですが、安全と水はタダなんて言われてきましたが、
安全はとうの昔にコストが掛かるようになりました。
残る水も今では有料です。その影響ではありませんが………
蛇口をひねればいくらでも大量に良質な水が飲める「水道」が
廉価であり続けることができなくなりました。
水道は原則的に市町村が独立採算で運営する水道事業で成り立つています。
しかし、人口減少に伴う収益悪化と設備の老朽化という二重苦に晒されています。
全国の水道使用量は1日当たり、この15年間で約8%減少しました。
結果、水道料金の全国平均は30年間で3割アップしています。
高度成長期に設備された水道管の更新もままならず15%が法定耐用年数の
40年を超過。主要な水道管耐震化率は4割にとどまっています。(毎日/クローズアップ)
松下翁が経営思想を語る際に例に出された「水道」は廉価で大量に排出される
商品ではなくなり、今や存続の危機に瀕しています。
水道は公共インフラの最たるものであります。
万が一、水道が止まれば電気やガス同様、たちまちに社会生活が麻痺します。
マスコミは道路のトンネルや橋が耐用年数を過ぎ、危険度が増しているとは報じますが。
「水道」事業の危機に付いては「公共料金の値上げ」につながるからでしょうか、
論じていませんので国民の関心は意外に低い。
この臨時国会。外国人労働者の受け入れ問題に議論が集中しているせいか、
経営がますます厳しくなっている公共水道事業の基盤強化を目的に、
広域連携や官民連携の推進を掲げた「水道法改正案」が審議されていますが、
報道がイマイチなのか重要な法案の割に国民の関心が低い。
論点は一つで「官民連携」です。
「利潤を追求する民間企業に任せれば、料金値上げと品質の低下は
避けられないのでは」とする「民間参入」への野党側の批判です。
なんでも反対や批判するのは自由ですが水道事業は利用者が支払う「水道料金」のみで
賄っているのではありません。自治体が税金で負担して成り立っているのです。
自治体の行政が破綻した北海道の夕張市の水道料金は全国で一番高く6,841円です。
財政の比較的豊な兵庫県赤穂市は853円で、8.8倍の開きが生じています。
現状のまま、自治体が運営すれば、早晩、全国が夕張化するでしょう。
法案が示すところの「官民連携」とはコスト削減のため自治体が施設を保有しつつ
運営権を民間に売却する「コンセッション方式」の導入が可能になります。
冷静に鑑みれば、水道事業はあまりにも公共性が高いが故に、
PFI方式よりも、コンセッション方式の方が、ベターだと思います。
日常何気なく、なんの不安なく、水道を使用していますが、
実は大変なことになっていて、今なんとかせねばと、国をあげてもがいていること、
私たちは自分ごととして、知るべきではないでしょうか。
水資源の価値について真摯に捉える必要があるのではないかと思うのですが、
果たして「水道哲学」の松下翁なら、なんと申されるだろうか。Goto
コンセッション方式
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