今日は二月二十八日。
一年でいちばん短い月の、
いちばん最後の日である。
先ずは愚痴から始めたい。
二月は日数が少ない。加えて祝日が二日もある。建国記念の日と天皇誕生日。ニッパチ不況と昔から言う。
寒さで財布の紐は固く、営業日数は削られる。おまけに三連休を“無理やり”つくる風潮。営業会社にとっては、なかなか骨の折れる月だ。
だが、ここで「仕方ない」と言えば、それまでの経営者である。私はそれまでだったが。
二月には二月の戦い方がある。数か月前から手を打てばいいだけの話だ。それでも結果が出ぬなら、トップが代わればよい。能力の問題だからだ。厳しいが、それが現実である。二月は企業の正念場。短い月は、言い訳を削ぎ落とす月でもある。
ちなみに一年は365日きっかりではない。365.2422日。だから四年に一度、閏年で帳尻を合わせる。自然は誤差を織り込みながら、粛々と巡る。人間の経営もまた同じ。誤差を見越して準備する者だけが、季節を味方につける。
さて、話は違う。二月二十八日は「ビスケットの日」でもある。幕末の1855年、漢方医・柴田方庵が保存食として水戸藩に製法を送った日だという。ビスケットはラテン語で「二度焼き」。童謡『ふしぎなポケット』の、叩くたびに増えるビスケットが懐かしい。減るどころか、増える。あの発想が愛らしい。
さらに今日は「織部の日」。
古田織部が1615年二月二十八日に没した日である。武将にして茶人、千利休の弟子。だが師の型に安住しなかった。大胆に歪み、緑釉を奔放に走らせ、桃山の美を切り拓いた。後に「織部焼」と呼ばれる革新は、常識への挑戦から生まれた。岐阜県、美濃焼にある。
二月は景気が悪い、日数が少ない――
そんな常識に縛られていては、織部の前に立てぬ。旧来の習慣を破り、新たな意匠を打ち出す。短い月だからこそ、密度を上げる。少ない日数だからこそ、一日一日の重みを増す。
おかげさまで我がグループは、二月をものともせず走り抜けた。「いかんともし難い」とやり過ごしてきた老兵を飛び越え、優秀な幹部諸氏が知恵を絞り、現場が汗を流した。感謝あるのみである。
さあ、三月だ。梅がほころび、桜が色づき、桃が続く。自然は、誰に遠慮することもなく春を呼ぶ。二月二十八日。短さを嘆く日ではない。織部に学び、革新を誓う日である。Goto


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