信なくば立たず

「公約を実行する政治」を問う

高市首相は、食料品の消費税率を2027年4月から2年間限定で、現行8%を1%へ引き下げ、残る1%相当は中低所得者へ給付し、実質ゼロにする方針を打ち出した。

すると各紙の社説は一斉に厳しい論調となった。(7/31朝刊)「将来に禍根を残す」「社会保障の財源に穴を開ける」「財政規律を軽視した無責任な政策」――。読売、毎日、朝日、日経ともに、極めて辛辣な批判を展開している。もちろん、新聞が政策を批判することは大切な役割である。財政規律や社会保障への影響を指摘することも必要だろう。

しかし、私には一つ、どうしても腑に落ちないことがある。
今年2月の総選挙では、自民党を含め、ほとんどの政党が消費税減税を公約として掲げた。私は唯一、消費税減税に反対した「チームみらい」の姿勢を支持したが、国民は減税を掲げた政党に政権を託したのである。

その選挙期間中、新聞各紙は消費税減税を公約とする政党に対し、「将来に禍根を残す」「無責任だ」と、これほどまで強い言葉で批判しただろうか。

政権が公約を実行しようとした途端、国家的な愚策であるかのように論じるのであれば、有権者は戸惑うばかりである。選挙前と選挙後で論調が大きく変わるように映るなら、新聞への信頼にも影響しかねない。

私は消費税減税そのものには今でも反対である。
社会保障を支える安定財源としての消費税の役割は重いと思っている。

しかし、それとこれとは別問題だ。
民主主義とは、公約を掲げ、国民の審判を受け、その約束を実行する政治ではないのか。
批判を恐れて公約を簡単に引っ込める政治の方が、私はよほど問題だと思う。

高市首相は、2年間の時限措置であり、その後は元に戻すと明言している。もちろん、約束が守られるかは将来の検証を待たねばならない。しかし、「どうせ守らないだろう」と決めつけて最初から否定するなら、政治家の言葉そのものを信じることができなくなる。

自民党内から反対論も聞こえてくる。政策に異論を唱えること自体は自由だ。しかし、選挙でその公約を掲げて公認候補として戦い、当選したのであれば、まずは党として国民に約束した政策を実現する努力を尽くすべきではないか。その上で結果を国民に問うのが筋だろう。

「未来に禍根を残す」のか、それとも国民生活を支える一手となるのか。その答えは、誰にも分からない。だからこそ、やってみた結果を冷静に検証し、良ければ続け、悪ければ改める。その姿勢こそ政治には求められる。

政治は「信」なくして成り立たない。
私は消費税減税には反対である。しかし、公約を曲げず、国民との約束を果たそうとする高市首相の姿勢には、一人の政治家として「信」を貫こうとする覚悟を見る。その覚悟まで否定してしまえば、政治への信頼はますます遠のいてしまうのではないだろうか。Goto

コメント