安易な「市場原理主義」批判にモノ申す。
どうも腑に落ちない。
不況の原因を「市場原理主義の破綻」にすり替えることが。
高名な経済学者宇沢弘文(80歳)氏は金融危機の本質を「もうける機会がれば、何をしてももうかれば良い」と言う考え方にある。危機は市場原理主義の結末であり、世界経済を破壊した打撃は計り知れないと、不況の原因を市場原理主義にあるとする。
更に、規制緩和が金融機関を放漫経営に走らせ、劣悪な金融商品をあたかも安全な商品であるかのように装い世界中にばらまく要因となった。と、レーガン、サッチャーの自由主義経済路線も市場原理主義によると批判する。
不況批判の大方は、この論理だ。果たしてそうだろうか?規制撤廃、市場開放による自由な経済活動を保障することが、「諸悪」の根源なんだろうか?私にはどうしても・・・・・・・・。納得が行かない。
英国病を克服した市場主義が間違いだったとは思えない。双子の赤字を抱えるアメリカ経済を立て直し「自由経済」の推進軸だったレーガン政策が経済史の汚点だと片付けられないハズだ。
氏は自由には二通りあると言う。一つは市場原理主義の「フリーダム」だと。「へ〜。驚きだ」原理主義がフリーダムだとは?硬直した考え方が原理主義だと思っていたのが?
もう一つの自由は人間の尊厳を守り、市民の基本的権利を最大限に享受できる社会にする「リバティー」だと。「リバティー」を望まない民主主義国家があるだろうか?ブッシュのアメリカは民主主義を放棄したのだろうか?
氏はさらに、市場原理主義は「自国の経済成長を追求し、他国はどんな被害にあっても構わない」、イラク戦争も含めた米国の単独行動主義が、金融危機で跳ね返ってきた。と。
ここまで来ると、市場原理主義の批判ではない。単なるブッシュ政権の批判である。
つまりは、9・11で世界経済のプライオリティが混乱した未熟政権であるが故の結末であったと言えないか?全ての原因を「市場原理主義」に持ち込んでいるとしか思えない。
氏は近代経済学者。日本人で最もノーベル経済学賞に近い人物だと言われているそうだが?
経歴を見ると、もともとは数学者。統計学、計量経済学が得意分野だと記してある。
そんな、偉大なる学者にケチを付ける積りはないが、劣悪な金融商品の開発を正当化したのは、金融工学であり、その源は、近代経済学の計量経済学ではないのか?
それが、なぜ、金融危機に端を発したこの不況の原因を、市場原理主義にすべておっ被せるのか?氏の経歴と合致しない。市井のおっさんとしては、なんとも、理解できない。
おまけに、氏の逸話では「時間に極端にルーズ」だと言うではないか?
時差を上手く駆使した、不況原因の単純批判は、何となく見苦しい気がする。
では、世界は如何なる経済主義で未来を描けば良いのか?
批判のための批判では、どうも腑に落ちない。
Goto
コメント