解説記事の行間を読む。
総選挙が公示された。各新聞社はここぞとばかり、一斉に解説記事を掲載している。いい機会だから。19日付の各紙から論点を整理してみたい。そうすれば、政治に対する新聞社のスタンスや役割が見えるハズ・・・。
各紙ともタイトルは「09選択」。この選挙を政権選択と位置付けているのには変わりない。が、日経はコラムニストの田勢康弘氏が新しい日本像を描くべきとして「どういう国家や社会を創ろうとしてマニフェストをうちだしているのか、うしろにあるべき国家の姿がみえない」と、民主党を暗に批判している。
読売は、さらに露骨に「1979年イギリスのサッチャー政権は「新自由主義」構想が盛られ。97年のブレア政権では新自由主義でも、社民主義でもない「第三の道」??を掲げ、政権を奪取したと。
マニフェスト選挙の元祖、イギリスを引き合いに、民主党は「この国をどういう方向に持っていこうとしているのか全く分からない。」「日本の将来像が明示されれば、国がどんな道筋を進み、自分たちの生活がどう変化していくかも理解できる」のにと、批判を強める。
未来像が見えないとの批判は、批判の中でも、最もレベルの低い批判である。未来が分かれば誰も苦労などしない。ましてや、30年前の政治状況を持ち出して、未来が示せないとの批判はあまりにもレベルが低いと、言わねばならない。
一方毎日では、民主党は「国家戦略会議の設置や事務次官会議の廃止など、脱官僚政治を目指した統治機構の見直しが実施され。
予算の組み替えによる無駄の排除、インド洋での給油活動の見直しなど目に見える形で変化を示している」と、不十分な面もあるが、自民党政権に代わる新しい「国のかたち」を示したと、反論する。
朝日は政治エディター(よく分らない担当だが)根本清樹氏が「マニフェスト選挙のめざましい進化は「お任せ」の民主主義から、「お好み」で選べる民主主義へのお膳立てが整った」とマニフェスト選挙の意義を訴え、
「市場原理主義、を改めます」との麻生総理の発言に、政治向きはどう変わったのか?と自民党の過去の総括不足を問題視ししながら、歴史を見据えて、明日への選択をと迫っている。
日経、読売は、選択と言いながら、未来への選択が示されていない選択だと野党を批判し、毎日と朝日は、政権交代の選択に意義があると言う。同じ「09選択」と位置付けても中身が違う。
毎日新聞「09衆院選」のコーナーには、「選挙期間中は公正を期すために、写真から党名や候補者名を消す場合があります」とわざわざ、「おことわり」を入れている。
メディアの在り方としては、当然の処置だが、「09選択」の重要な選挙だからこそ、解説記事の行間をよく読んで、判断の材料にする必要があるのではないかと思う。
Goto
8/19毎日新聞
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