天下の愚策に手を染めない方が良いのではないか?
モラトリアム人間。私がこの言葉を始めて聞いたのは、故草柳大蔵氏(作家・ジャーナリスト)の講演でです。自我の目覚めが遅く、無気力で、中途半端な生き方をする若者の代名詞としての表現でした。
誰かに頼って、自分自身のやりたいことや身に付けなければならないことを、怠るような、アイデンティテイ(立ち位置)のないモラトリアム人間になっては、いけない。などと、思ったものです。
新政権誕生から、まだ、一ヶ月もたっていません。ハネムーン期間。最低三ヶ月は成り行きをじっくり眺めていたい。そんな思いですが。亀井金融相のモラトリアム実施のアドバルーンには、疑問符を付けたいと思います。
理由は、「弱きを助け強きを挫く」のが大臣の政治心情なのでしょうが。果たして、借りた物を返さなくて良い「返済猶予」「支払い猶予」を景気悪化を理由に法制化して良いものか?
そもそも、新政権が掲げたマニフェスト(政権公約)は、前政権とは違う哲学を持って推進する役目を担っています。そのマニフェストに「モラトリアム」の思想が入っていたでしょうか。
そりゃ、この不況は、「百年に一度と言われる未曾有の大不況」って言われるくらい大変です。とりわけ、地方、中小企業は、立ちゆかない状況です。だからと、言って、「借りた物を返さなくても良い」そんな法律を作って、救済するのが良いかと言えば、それは愚策としか思えません。
知恵を出せば、金融機関に負担を押し付けるのではなく、政府として、やれることは何通りも方法があると思う。例えば保証協会の活用とか。少なくとも、民主党のマニフエストには、こんな金融政策はなかった気がします。
こんな思い付きの愚策で、金融機関の弱体化を招けば、それこそ、日本経済は壊滅的な状態になります。最近は、「一律に借金を帳消しにするとは言っていない」と当初よりトーンを下げていますが・・・。
その大法螺を吹いて、修正する手法こそ、古い政治家です。私にはどうも馴染めません。連立とは哲学の違う政党が政権を担うのですから、このような事態は起こるのでしょうが、果たして、連立に意味があるのか心配です。
何となくですが。故草柳大蔵氏のいうところの「アイデンティティ」が確立されていないモラトリアム人間と借金の返済を猶予するモラトリアムと、どこか、「人間の根源(哲学)」にかかわる共通点があるのではないかと思うのですが・・・・・・・・・・。
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