江戸しぐさ

商道徳をもう一度考えてみたいと思います。
最もアメリカナイズされたテーマパークといえば、東京ディズニーランドだが、そのディズニーへ本場のアメリカをはじめ世界各地の関係者が日本に勉強に来ると聞いた。
勿論、施設の見学ではない。日本風「もてなしの心」の勉強だそうです。もてなしと言えば、ホテル。世界の名だたるホテルのもてなし(サービス)の方が定評がある。
何も、わざわざ、サービスの勉強に、日本まで・・・。と思うのだが。
7日の読売新聞、「よみうり寸評」(私的には、一面の編集手帳より、最近は寸評の方が味があると思うんですが、同じような世相論評が二つあるのも・・・)に「江戸しぐさ」について書かれていて・・・。
そう言えば、東京ディズニーの「もてなしの心」の原点は、「江戸しぐさ」だと、伺った事を思い出した。
「よみうり寸評」には、<傘かしげ>(道行く人がすれ違いざま、傘を傾けて、相手に道を譲る所作)が良く知られた「江戸しぐさ」と、紹介されているが。
「江戸しぐさ」とは(聞きかじりです)、所作を指す「仕草」ではなく、商人道を追求のための生活哲学のことで「思草」と表記するそう。代々江戸の商家で口伝されたもの。
私が、なるほどと納得する「江戸しぐさ」は「時泥棒」(断りなく相手を訪問したり、約束の時間に遅れるなど、相手の時間を奪うのは、重罪)と「うかつあやまり」(相手に足を踏まれたときなど、「すみません。うかつでした」と踏まれたこちらが詫びて、その場の雰囲気をよく保つことです。
まさに、商人道の極意だと思いませんか。「江戸しぐさ」は<傘かしげ>に代表される譲りの所作。それが相手を思いやる「もてなしの心」に通じるのでしょうが。
しかし、それは、一面。実は、時間を守らないものは、ビジネスをする資格がないという冷徹な商人道であり。たとえ、わが身に害が及んでも、そこは「わたしがうかつでした」と我慢して、商売を全うせよとの、商売人の知恵と経験に裏付けされたもの。
実は相手を満足させると言った単純な「もてなし」ではなく、ビジネスを成功させる上での、江戸商人の倫理観、道徳律、約束事です。
どうも、各国のディズニー関係者は、「日本風、もてなしの心」の勉強と称して、東京デズニーランドへ「江戸しぐさ」の真髄に触れるために訪れるのではないかと、思うのですが・・・・。
私も、聞きかじりではなく、越川礼子さんが、書かれた「江戸しぐさ」を読んでみたいと思います。
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