外務省

大丈夫か、日本外交、丹羽駐中国大使交代に思う。
もう、20年近くなろうか。湾岸戦争直後、イスラエルの南の端、エイラットの街で、駐イスラエル大使と会食をしたことがある。大使は外交使節の最上位、天皇陛下の名代、民間人が簡単には会えないのだと脅かされて、食事が美味くなかったのを思い出す。
伊藤忠の元会長丹羽宇一郎氏。商社マンの経験に裏付けされた歯に衣着せぬ様々な提言に、大いに共鳴していた1人として、民間から始めて中国大使に就任、期待したのだが、秋の外務省人事で、交代だそうです。日中は尖閣諸島問題もあり。極めて重要な局面。これから手腕を発揮してもらえるのに、二年で交代とは残念です。外務省巻き返されたのでしょう。
日経春秋から引用ですが、半世紀以上も前に「外務省の役人は、外交の特殊技術は外務省育ちの人間以外は持ち合わせていない思い込んでいる」と、吉田茂のブレーン、白洲次郎が喝破したと書いてますが。私の経験でも、何でこんなに、権威を振りかざし、上から目線で人を見くびるのか。疑問でした。
10年前。小泉政権の頃、田中真紀子外相が引き金を引いたのですが。機密費の詐欺など不祥事にまみれた伏魔殿のような外務省にメスが入った。その結果、様々な改革がなされた。その一つが、次官経験者は大使に就かないであり、その延長上に民主党政権の「脱官僚依存」がありその象徴が丹羽中国大使だったのに。
同時交代の米国大使には現職次官を充てるそうな。これでは、大使には最適な人材をあらゆる分野から広く登用する。3年以内に約2割外部から任用とし、外務官僚との健全な競争を促すとした・・・政権交代の意義がまた一つ、消えたことになる。
最近の朝日の社説には、原発問題など、記事や論調とに整合性がないと気になっていたのだが。8/22付「中国大使交代・民間起用芽を摘むな」の10年前の改革を骨抜きにし、外務官僚にとっての「古き良き外務省」復活させる人事に外交力の弱体化を懸念するとの姿勢には、納得である。
日本外交は厳しい。ましてや、ODAの資金もない。そんな折に、再び、諸手を挙げて、外務省に頼り切ってよいのか。政治主導が泣いている。外交使節の最上位、天皇陛下の名代だと、うそぶいたあの大使の顔が浮かぶ。
丹羽大使には帰国後、2年の大使経験を踏まえ、外務省の本質と改革すべきことを、提言して頂ければ、初の民間大使も無駄ではなかったと思うのだが。Goto

コメント

  1. Goto より:

    我々が政治に関われるのは、選挙しかありません。自民党の地方組織、まだまだ強固です。
    利権屋のボスに牛耳られてます。それを支持する国民がいることがこの国の衰退の原因です。嘆いても仕方ありません。それをぶち破るのが、市井の我々です。Goto

  2. レモンハート より:

    こんばんは。
    >腹の座った政治家がいないといけません。
    そうですね。
    北朝鮮もそうですが、
    北方領土の返還についても
    進展させててくれる政治家がいてほしいです。
    僕は2島でもいいと考えてます。
    外務省の唱える4島返還ではいつまでたっても
    ラチが開きません。
    世論やメディアに動じず
    2島返還に動いてくれる政治家がいてほしいです。

  3. Goto より:

    賛同頂くのはありがたいのですが。
    腹の座った政治家がいないといけません。
    北朝鮮で、丁々発止やれる。人選してみて下さい。 Goto

  4. レモンハート より:

    こんにちは。
    韓国は、日本がスワップを中止すれば、「経済がフラフラになるので、止めないで欲しい」と懇願しているといいますが…。外務省は日本を求めているもうひとつの朝鮮との交渉で力を発揮してほしいです。レアメタル豊富な資源国である北朝鮮とつき合う選択もひとつ。今こそ、交渉力がためされる時です!

  5. Goto より:

    タイミングが良いのか?悪いのか?たまたま、駐中国大使が、暴漢に襲われる。その日と、外務省を考えるブログとが合致しました。くどいようですが、軍事費の増額。北朝鮮との国交回復交渉。これしか、日本外交を毅然たるモノにする方法はありません。この際です。軟弱な外交官よりも、防衛省制服組に、大使をやらせても、良いのではないでしょうか。暴論覚悟です。Goto

  6. ナガラ より:

    つい前日に日露戦争以降、日本には外務省が存在しない、あれは儀礼省だと述べさせていただきました。
    現在、新聞の連載に高橋是清が日露戦争の戦費を賄うために、外債を募集する場面が掲載されています。
    紙屑に変わる可能性の高い日本の外債を、いかに売り込んで戦争資金を調達するか。
    日本の死命を賭けたもう一つの戦争に、林駐英公使は阿吽のチームワークで是清の外債募集を援け、それに成功します。
    一方で明石大佐の諜報活動も支え、歴史の裏舞台の立役者になっています。
    現在の外務省に比べることのできる人材は、勿論いないでしょう。
    間違っても、語学と閥が外務官僚の必須事項ではありますまい。