世論調査が映す日本の現在地

働き続けたい国民、外国人を拒む若者、遅れるデジタル国家――
政治と官僚は何を見ているのか

日経新聞の郵送世論調査に、思わず苦笑してしまう結果が出ていた。苦笑と言っても、愉快な笑いではない。あまりに現実と政治・行政のズレが大きすぎて、笑うしかないのである。

まず、高齢者の就労についての質問だ。政府は高年齢者雇用安定法で、企業に対し「65歳までの就業機会の確保」を努力義務としている。ところが「何歳まで働くつもりか」と聞くと、「70歳になっても働く」と答えた人が42%。調査開始以来、初めて4割を超えたという。

理由の第一位は「老後に不安がある」――実に75%。政府はこの数字を見て、どう思うのだろうか。いや、答えは簡単だ。おそらく「なるほど」と頷きながら、何もしない。これが日本の政治・中央官庁の得意技である。

しかし私は思う。超高齢社会の現実を前にして、制度の方が遅れているのではないか。70歳就労を義務化し、75歳までを努力義務に引き上げるべきではないか。その決断をすべし。

人間学的に言えば、日本人は「働く民族」である。農耕民族として何千年も生きてきた我々は、「働くこと」を人生の中心に置いてきた。田畑を耕す老人の背中を思い出してほしい。腰は曲がり、杖をつきながらも畑に立つ。

なぜか。
それは、働くことが人間だからであるからだ。日本では「生涯現役」という言葉が自然に通じる。これは世界でも珍しい文化だ。働くことは単なる賃金労働ではない。社会とのつながりであり、自尊心であり、人生の意味である。

だから政府は、「働くな」と言う制度ではなく
働きたい人を守る制度をつくるべきなのだ。

もちろん問題は山ほど出てくる。
・年金制度との整合性
・社会保険の負担
・若年雇用との関係
・企業の人件費負担
・健康問題
・職種転換や再教育
しかし、それでもなお言える。
働きたい人を働かせない社会の方が、よほど不自然である。

「老後はゆっくり休みなさい」などと言う人もいる。だが、そんな親切は大きなお世話だ。働きたい老人は放っておいても働く、それが日本人なのだ。だから働ける環境をつくるべきである。

二つ目。
若い世代の外国人観である。「外国人が職場や地域で増えるのは良くない」と答えた人が37%。前回調査より10ポイント以上増えたという。最近は「日本人ファースト」などという勇ましい言葉を掲げる政党も現れ、外国人排斥の空気が少しずつ広がっている。

私は言いたい。だったらおまえも働け。ニートや引きこもりが100万人以上とも言われる国で、「外国人が多い」と文句を言うのは筋違いだろう。

それ以上に深刻なのは別の事実だ。日本で働こうとする外国人は、むしろ減っている。かつて日本は「出稼ぎ先」として人気があった。だが今は違う。賃金は伸びず、経済は停滞し、円は弱い。

つまり――日本の国力が落ちているのである。外国人が日本を避け始めている現実を見ずに、「外国人が増える」と騒ぐのは、まるで人の来ない店の店主が「客が多すぎて困る」と言うようなものだ。笑うしかない。Goto

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