勝って負けたのでは?

戦後68年。日本は米国の従属国から脱却できない。
今週の土曜日が、NHKドラマ「負けて、勝つ」の最終回(5回連載)。事実に基づいたフィクションってことになっていますが。戦後の混乱期。敗戦国・日本が、不本意であっても、独立を勝ち取るに、如何に不条理を飲まされてきたのか。現実路線を推し進めねばならなかったのか?
それが、正しいのか?正しくなかったのか?戦後68年の時を経て・・・政治家・吉田茂が選択した路線を改めて検証するNHKならではの力作。結構はまりました。この時期のドラマ化は、ひょっとしたら、政権交代の成せる技であるのかも、そんな思いがよぎりました。
ドラマの筋書きは、戦後の混乱期(昭和20年代)進駐軍に身体を売る戦争で家族を失った女性と、親父(吉田茂)の超現実主義に対し、理想主義で反抗する息子(吉田健一)を横糸に。二度と戦争を起こさせない。そのためには、GHQの押し付けであっても、平和憲法を飲まざるを得ない現実。
日本の位置は共産主義からの防波堤その冷酷な現実になす術もなく・・・・警察予備隊と称する再軍備を強要される。そして、米軍基地の存在を認めながら・・・講和条約を締結せざるを得ない現実。・・・それらを縦糸に、不思議な人物・白洲次郎をクッションとして、その時代を克明に描く。吉田茂を美化しすぎだと思う面もあるが。
ロケ地が旧岐阜庁の正面玄関。渡辺謙さんの好演に、敗戦国の辛酸を舐めながら、
超現実主義選択せねばならない・・・・非情が感慨深い。
圧巻は、占領軍の基地。即ち日本国内に米軍基地を残したまま、講和条約締結に踏み切り、まがいなりにも独立を勝ち取る下りが、このドラマのハイライトであろうが。おりしも、民主党政権は軌道修正したものの普天間基地を国外、県外移転と訴え、米国の従属国からの脱皮を試みたが米国の怒りに触れ・・・・
それが、一転。尖閣列島を巡り、中国の脅威が表面化すると、米国との関係を修復。同盟強化へと、慌てて舵を戻す。戦後68年。吉田茂の敷いた超現実路から一歩も脱却も脱皮もできていないし、できない現実ダブる。
その意味でも、戦後のあのドサクサで、吉田茂は本当に「負けて、勝つ」を選択したのであろうか?独立は勝ち取ったが、結果は負けたままではないのか。・・・・詰まりは「勝って、負けた」のだと思うのだが。
ドラマを見ていない人にはわかり難い話になりましたが、6日の土曜日が最終回。講和条約締結が軸でドラマは展開してエンディングへと向かうでしょうが。なかなか興味深いドラマです。ぜひ、ご覧になって下さい。Goto

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