心の聴力

木々をわたる風の音にも、雨垂れの音にも耳を澄ます。
今年は空梅雨か?なんて話も聞こえそうな・・・好天が続きましたが、一転豪雨・・・ままにならぬものです。梅雨の記憶では長引き、もう夏がこないのではと思うほど・・7月の下旬まで雨に悩まされたことが度々あります。梅雨明けは必ず集中豪雨に見舞われ、近在に大きな被害がでました。そんな年の雨には不気味な雨音を感じました。
梅雨とも猛暑ともまったく関係ないのですが。
本を読んだり、新聞を隅から隅まで眺めたりすることと、耳を澄まして人の話を聞くこととは同意であると思えるようになりました。大手商社の新聞広告(最近結構多いのです)に作家の三浦しおん(船を編むで本屋大賞)さんが・…・「心の聴力」っていうテーマでなるほどと思うことを。
小説を書く行為は「聞く」ことで成り立っている。林業について書こうと思えば、従事者に取材、話を聞く。山の風景を見て、木々をわたる風の音に耳を澄ます。「聞く=インプット」がなければ小説は始まらない。
書き出しても、登場人物に耳を傾ける。集中すると脳内から聞こえる人物たちの声を聞き、文章化するだけの筒になった気がする瞬間がある。小説を書くにとどまらず、想像的な行為は「聞く」ことによって成立するかもしれない。
自分以外の声、声にならない声、まだ見ぬ世界からの声・・様々な声をキャッチし、想像力をもって耳を傾けること。対話も、新たな創造も、そこからしか生まれないのだと肝に銘じて「心の聴力」をあげていきたい・・・と。
人の話が聞けないのは聞く耳を持たぬからだけではありません。歳を重ねることは、「心の聴力」も衰えますが、新聞も本も読まなくなり、自分の経験だけで物事を判断しようとして・・人の話をまったく聞かなくなります。感性がなくなるとはこういうことなのでしょう。
梅雨です。そんな高齢者にならぬよう恵みの雨に感謝し、雨音にも耳を傾け「心の聴力」を磨いて・・・「創造力」を高め、チャレンジ精神を忘れないようにせねばと思っています。Goto

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