木を切らないという環境破壊があります。
大企業は、全て悪である。円安と株高で収益を上げすぎ。内部留保金が270兆円もある。そこに税を掛けろ。消費増税などせずとも良い。法人税の実行税率の減税などもってのほか。大企業が日本を歪め、貧富の差を拡大している元凶・・・などと叫ぶ声が聞こえる。
本当にそうでしょうか?そう叫ぶ人達に問うてみたい。経済成長は必要ではないのかと。経済成長とはGDPの伸び率である。GDPは国内で一定期間内に新しく生み出されたモノやサービスの金額の合計である。日本の人口は減少に転じている。簡単には止められない状況にある。
「一人ひとりの生活水準が上がるなら経済全体の成長は必要ないと考える」経済学者が、声高に叫ぶ人達のバックボーンになっている。また「成長は環境を破壊し、個人も競争にさらされ、人間の欲望を剥き出しにし、社会を殺伐とさせる」と社会派と称する学者・文化人もそう言う。
私は「経済成長なくして日本は成り立たない」と思っている。老母が介護を受けている。関係者の献身ぶりに接すると頭が下がる。私も「緑寿」そんなに遠くない時期に、医療・年金・介護などの社会保障のお世話にならねばならない。抑えてみても社会保障費は膨らみ続けるであろう。
その財源を確保するには現役世代の保険料や国民の税金で賄うしか道はない。経済成長により現役世代の所得を増やさなければ、負担は重くなるばかりだ。今の社会保障を維持するだけでも成長は不可欠なのだ。
その大前提として、雇用が必要となる。新たなモノやサービスを作り出す企業がなければ雇用の受け皿が生まれない。成長がなければ、企業にイノベーションが起こらない。外国との厳しい経済戦争にも勝てない。大企業であろうがそうでなかろが、企業の存在を否定して、国は成り立たない。
写真をご覧下さい。木材価格の低迷、従事者の減少など林業経営が厳しくなり、間伐などの手入れが放置されている日本各地の荒廃林の姿だ。樹木が密集して日が差さない森は、地面に下草が生えず、大雨による土壌流出や山崩れの危険が迫る・・・・
国産の間伐材を利用して商品化できれば、不健康な森を減らすことができる。この広告は大企業である印刷会社が間伐材から「環境配慮型飲料容器」を開発し「森の間伐材で紙製容器を作る仕組みを、紙と共に生まれた印刷テクノロジーが、資源活用と森林育成を両立する新たな環境循環を生み出している」と語っている。
この容器を開発するにあたり、いかほどの研究開発費を掛けたかは分からないが、少なくとも大企業であるがゆえに、イノベーションを駆使して商品化に持ち込んだと想像するに難くない。商品が世界的に普及すれば、新たな雇用も環境保護も可能になろう。大企業を悪と考える人達に、この広告を見て貰いたいと思うのは、経済の成り立ちを余りにも一面的で短絡に考えるからである。Goto
12/11日本経済新聞
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