千円

若い奴には教えてやらねば。年寄りをいたわるのは礼儀であり作法なんだと。
昭和30年代後半。「槍銭一枚あれば、楽しく遊ぶことができるんだ」なんて豪語して、肩で風切り岐阜市の歓楽街・柳ヶ瀬に派手な格好で出掛ける近所のお兄さんを首を傾げながら「へぇー」なんて思って眺めていたものですが。・・槍銭とは千円札のこと。
今時、千円で楽しめるといえば、映画です。高齢者に優しい国は、ハリウッドの超大作でも、凝りに凝った邦画でも、千円で楽しませてくれる。私的には、そりゃ、アベコベだろう。大勢の若者が観れるように割引して、高齢者は定価でいいんじゃないかと思うのだが。
高齢者といえば、こんな話を聞いて、捨てたものではないと思った。東京の話です。電車の中。高齢者優先席が空いた。二人の高齢者が、一般席に座っていたが。高齢者優先席に移動。若い人だって疲れているんだ。席を譲ってあげないとねぇ・・・と言いながら。
同じ高齢者としては、めったに電車に乗ることもないが。そんな心遣いができる高齢者が増えれば、この国は最も成熟した福祉国家になれるのではと思う。邦画界の巨匠、北野武監督が、暴走老人映画を作った。味のある映画だとの評価に誘われ、千円払って観てきた。
なんとまぁ・・・駄作か。時間を無駄にした。なんでこんな下世話な映画を評価するのか?芸能界の大御所をよいしょしているからなのか?こんな映画を評価している評論家や、ワイド番組のコメンテーターに幻滅を感じる。批評するにもあたらない。千円をどこかに寄付したほうがよっぽどましだったと、後悔している。
「人生の先輩である年寄りを尊敬するのは、可哀想だとか、弱いからだとかじゃなくて、人の世の作法だ。敬意を払わない若い奴は教えてやらなければならぬ」それが、巨匠のこの映画に対するご託宣だが。そもそも暴走老人の元ヤクザに礼儀作法があったのですかねぇ?
なんともはや・・・理解不能の駄作、悦に入っているのは巨匠監督だけでは。千円返せ・・Goto

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