トリアージ

角を矯めて牛を殺す愚とはこのことですね。
チョッピリ重い問題に触れてみたいと思います。関東を襲った豪雨。鬼怒川の氾濫で8人の死亡が確認されました。その際、行方不明者の数を巡って情報が錯綜、混乱が生じました。なぜ、常総市と茨城県の間で情報が共有されなかったのか、報道機関に公表されなかったのか・・・
「個人情報保護」に関する異常さがその原因と指摘されています。
安否不明者の氏名を公表すれば無事な人が早めに確認できる。人命救助の迅速さに繋がるが、
プライバシーを侵害され、不明者や家族が「不利益」を被る。さて、どちらを優先すべきか。
個人情報保護法第23条では本人の同意を得ないで第三者に個人データを提供することは禁じられています。ただし、生命、財産の保護のために必要がある場合などは除くとあります。
災害であり緊急事態なのです。一般的に考えれば、情報が集められたら、個人情報の保護よりも人命を優先し、積極的に氏名を公表すべきだと思います。
茨城県が行方不明者の安否を確認したのに常総市に伝えていなかったそうです。プライバシーを重視し市と県、警察の間の連絡が不徹底となり「無事確認」の情報が共有されないまま捜索が続けられました。最初から実名を公表し、報道機関のチェックを受ければ、捜索範囲が絞れて救助できた人もいるかと思えば残念です。
プライバシー保護を名目に行政や捜査機関が報道機関への情報提供を拒む例が多いと言われます。プライバシーと言う言葉が一人歩き、国民も匿名に慣れてしまった。だが匿名化は市民や報道機関による真実の発見を阻害し、公的機関による情報統制に繋がる可能性がある。(読売・9\17付・朝刊)
岩手県の防災危機管理監は元陸上自衛隊陸将補。「情報には優先度がある。一番重要なのは行方不明者の情報。災害医療の現場では重症度に応じて色の違うタグをつけ、患者の治療の優先順位を選別する「トリアージ」を行う。情報もトリアージが必要だ」と言う。その通りです。
天変地異の気配です。行政マンに緊急時の「トリアージ」を教えなければならないが、人命よりも個人情報保護が優先するなんてなんとも不思議な国です。これこそ「角を矯めて牛を殺す」ではないでしょうか。Goto

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