万葉集

数十首の勇ましい歌が軍国主義に利用されたんですね。
「令和」改元まで1週間です。
色んなことを研究している学者がいるものだと、感激しました。
朝日新聞の文化欄に……万葉集を研究しているから付けられるのでしょう、
「万葉学者」と形容が付く東大の教授のコメントが掲載。なかなか興味ある内容でしたので。
安倍首相の新元号発表談話で「万葉集は天皇や皇族、貴族だけでなく、防人や農民まで
幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められている」と語られたが、実際は「貴族など
一部上流層にとどまったというのが現在の研究では通説」とバッサリ。
万葉集に収められているのは4500首余り、そのほとんどは男女の交情や日常を歌っている。
明治以降、近代国家を目指す上で国家と一体化した「国民詩」が必要、
そこで庶民には無名に近かった万葉集が、奈良時代に編集されたとして
「わが国の古典」の王座に据えられ、国民意識の形成に利用された。
その中で数十首、勇ましい歌があり、昭和の戦争期に拡大解釈され、意図的に使われた。
「海行かば水漬く屍 山行かば草生す屍 大君の辺にこそ死なめ顧みはせじ」は
「海行かば」と題して軍歌として、軍国主義に利用された。
「海行かば」は天皇を思い死んでいった兵隊を讃える軍歌とは知っていたが、
万葉集から引かれたとは知りませんでした。なるほど、権力とは時として、
歌をも使って人心を掌握するものですね。
いや、万葉集の歌が戦前の軍国主義だけに利用されたのではない。
戦後左派陣営も国民歌集「万葉集」の復興を歓迎、国の強制に対し防人がどのように
抗ったのかを、父母と別れる悲しみを詠んだ歌を引くことで利用した。
万葉学者は、「平和時も万葉集を「天皇から庶民まで」の作が結集された
全国民的歌集であるかのように想像すること自体が、国民国家のイデオロギーではないか」
との学説を唱える。そう解釈すれば、なるほどと納得ではないか。
万葉集は1300年の時を経て現存し、人の心を浮き立たせることこそ、
評価すべきで、都合の良い歌を引用して政治利用した歴史をも知るべきではないか。
それにしても、私の人生に利用できる歌があるかも知れない。
一度「万葉学者」の話を聞いてみたいものです。
エッ……4500首に目を通して勉強しろですって。Goto

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