ロボットジャーナリズム

新聞社が発行するニュースをネットで読む有料読者数3500万人
これは驚きです。なんて言っているのは、日本の新聞社だけかも知れませんね。
英国スコットランドで開催された「第71回世界ニュースメディア大会」での
報告です。新聞社が発行するニュースをインターネットで読んでいる
有料購読者数が世界で3500万人に達したこと。ネット版の記事を書く記者が
この5年で5倍に急拡大したことに………
新聞の記事とネットの記事……同じニュースでも活字にする伝え方と
動画や音声で伝えるのは「喋り言葉」で表現方法が微妙に違います。
また、ネット配信と新聞記事でも違います。ネットはタイムラグがありません。
ニュースの状況をリアルタイムで伝えますので、何度も上書きし、前の記事を消し込みます。
海外の新聞社、20年前なら、編集局には原稿を書く記者と編集者しかいなかったのが
今では、動画を作る映像の専門家や音声入力の専門家も編集局にいます。
もちろん、統計データを見やすく加工するデザイナーや画面編集する
プログラマーもいて、実に多様な人材が編集局にいて報道の前線に立っています。
スウェーデン日刊紙では、自社の有料サイトの動画ニュースに力を入れ、
300人の記者うち85人が動画取材を担当しているそうです。
世界の記事を配信するロイター通信では、今や膨大なデータを扱う経済ニュースの
報道にAIを活用したり、機械翻訳を取り入れたりしているそうです。
記者の役割を機械が肩代わりする状況を「ロボット・ジャーナリズム」と呼んでいます。
英国でも日米同様に、デジタル媒体の発展に合わせるかのように、地方新聞が衰退し
次なる一手が打てず大きな問題になっているそうです。
答えがでているのに、なぜ、日米英など先進国の新聞社で手が打てないのか疑問です。
だって、新聞社の編集局には既存の記者を含めネット配信できる人材を
揃えれば、3500万人から更に増え続けるであろうネット有料読者を獲得できるのだから。
「世界ニュースメディア大会」の報告で答えは明白ではないでしょうか。
私は思うのです。敢えて日本のと申し上げますが、英国も米国も同じだとは思うのですが。
新聞社には情報を扱う盟主としての誇りと成功体験をベースとしたノウハウがあります。
それが「編集局」という特別な世界です。そこには広告も事業も販売も立ち入らせない
そんな、暗黙の不文律があります。
しかし、考えてみて下さい。新聞など発刊されたことのない新興国でも、
最貧国でも通信や放送網が国土に整備され始めています。
携帯電話やスマホ、PCさえ入手すれば情報を得ることができます。
取材して、記事を書いて、整理して、印刷して、配達して………読者に届ける。
そんな手間は不要な時代です。だから世界で3500万人の有料購読者数になるのです。
第71回世界ニュースメディア大会」が突き付けた課題……
新聞社の役割は、もはや新聞を発行することではない。より良質な、
記事をつくることであり、映像をつくりネットで有料配信ことではないでしょうか。
それには、編集局が縄張り意識を棄てて様変わりすることが寛容だと思うのですが。
でないと、早晩、ロボットジャーナリズムの新聞社が登場することになるのでは。Goto

コメント