「煮ても焼いても食えねぇ人間なんていますかねぇ」
いつ頃だったか、思い出せないが……小学生だったと。
24世帯の集合住宅(岐阜最初の県営アパート)で暮らしていた時のことです。
新聞社の役員だった親父殿が突然、大きな水槽を持ち帰りました。
その水槽にはどこで仕入れてきたのか、立派な金魚が数匹。
頭部に肉瘤が盛り上がり……背びれがなく、モタモタと泳ぐ。
特殊な金魚で「蘭鋳(らんちゅう)」という名で高価だと。
ヘェーと珍しく日長…眺めていたことを思いだします。
金魚の話です。金魚って煮ても焼いても食べれません。ご存知でしたか。
私が、その水槽から「蘭鋳」を掴みだして食べて見て、知ったのではありません。
親父殿が「煮ても焼いても食えねぇ奴を金魚野郎って言うんだ」と
金魚は食べられないとボヤいたのを首を傾げながら聞いて、
それを未だに信じているからです。
「金魚は人間が作った魚」(朝日、文化の扉から)
そもそもがフナの仲間「フナに戻ろうとする魚と、そうさせまいとする
人間との綱引きが今の状態を維持している」そうです。
金魚の祖先は中国で、千数百年前に見つかった突然変異の赤いフナが始まり。
多様な品種は、突然変異の固定化や、新たな特徴を作るための
交配の繰り返しによって生み出されきた。
日本には室町時代に渡来、貴族たちが「上見」といって、鉢に入れ上から鑑賞した。
江戸後期に金魚鑑賞を楽しむ人たちが増え、浮世絵にも登場する。
明治以降、奈良の大和郡山市や愛知の弥富町などで養殖が盛んになり全国的に普及した。
しかし、高度経済成長以降、娯楽の多様化なのか、それとも熱帯魚が
普及したからなのか、「金魚離れ」が進みブームは下火に、家庭から金魚鉢が姿を消した。
それが、ここに来て静かに金魚ブームが。
白いどんぶりに金魚を一匹だけ飼う。よくなつくと指から直接に
餌を食べる「どんぶり金魚」がひとり暮らしの人たちにウケている。
犬や猫ほどのペットを買うよりも手頃で、静かなブームになっていると。
私も知らなかったのですが。巨大な水槽に数多くの金魚を泳がせ光や音楽で演出する
「アートアクアリウム」が人気だとか。私が毎朝ウォーキングする、岐阜県の施設、
メモリアルセンター(総合運動場)に木曽三川を模倣した池と水流の小さな公園がある。
そこには魚がいないので、「盆祭り」の金魚すくいで掬った「和金」を入れたことが。
そしたら、どうでしょう。数日もしない内に一匹もいないじゃないですか。
鳥と猫が襲って食べたとか。えっ……金魚って食べられるじゃないですか。
「煮ても焼いても食えねぇ人間なんていない」と思っていたが。Goto
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