「読売信条」に「経済における理想主義」を掲げて欲しいものです。
読売新聞が創刊145年を迎えました。新聞の将来が難しい時代です。
新聞命(しんぶんいのち)の私としては嬉しい限りです。
145年とは150年でもないし、中途半端な記念日ですが8ページの特集が組まれました。
改めて新聞とは何かを考えて見たいと思います。
エッ。「新聞取ってネェし、興味ないわ」ですって。
そんなこと、言わないで下さい。でもスマホでニュースは読んでいるでしょ。
「そりゃ、ラインに割り込んでくるから仕方なしに」
そうでしょう。その記事が「安心できる」のは新聞社が配信しているものだからです。
まずは新聞社の姿勢です。ニュースは事実を忠実に掲載するのですが。
問題は社説です。社説とはその新聞社の「基本理念」に基づいて掲載されます。
読売新聞の場合は「自由主義」「人間主義」「国際主義」の三主義を理念としています。
自由とは「他者からの強制、拘束、支配」を受けないことです。
新聞が時の権力におもねるなら、それは御用新聞といって「自由」な新聞ではありません。
朝日、毎日は反権力の姿勢が自由であると考える向きがありますが、
読売は「自由」を守るための追求は「公益に配慮する責任」を負う「是々非々」の姿勢です。
個人の尊厳と基本的人権を尊重することが、現代社会の最も重要な成立要件と考え、
「人間主義」を基点としています。この考え方はどの新聞社も大方同じです。
ただ、読売の場合は「機会の平等」は必要だが「結果の平等」の制限には否定的です。
朝日は「平等主義」に徹していて「個人の尊厳を重視する」考えには懐疑的です。
世界観については、どの新聞社も「平和を唱えます」が日本憲法については、
読売は国際国家の道を歩むべきと主張、必要ならば「憲法の見直し」を是とします。
朝日や毎日が掲げる「一国平和主義」(憲法擁護)の姿勢とは一線を画します。
これが全国紙の新聞を発行する上での基本的な理念です。
私は「理念なき」新聞は発行する意味はないと思いますが。
もう一つ、全国紙に決定的に不足していることがあると思っています。
それは経済に対する理念が希薄であるということです。
読売の場合経済についての信条はありません。
三つの主義のもと「市場経済」が健全に機能し、
平和で活力のある社会が実現されれば良い、と述べるだけです。
読売がこの程度ですから、他紙は追って知るべしです。
私が思うに、新聞の生い立ちからして「新聞は政治を語る」ものであるとの、
陳腐な思想と申しますか、考え方に凝り固まっているのではないでしょうか。
その証拠に、全国紙は経済紙を「専門誌であって、一般紙ではない」と業界紙扱いです。
でも、今や経済を抜きに国家も政治も語れないのが「何主義」よりも現実です。
新聞は理想主義を掲げ、言論をリードする重要な役割を担っています。
読売150周年には「経済の理想主義」を加えて頂ければと願います。Goto
資料
読売信条(2000年1月1日制定)
読売新聞は責任ある自由を追求する。
個人の尊厳と基本的人権に基づく人間主義をめざす。
国際主義に立ち、日本と世界の平和、繁栄に貢献する。
真実を追求する公正な報道、勇気と責任ある言動により、読者の信頼にこたえる。
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