ニューヨーク・タイムス廃刊

新聞社の経営って記者出身では限界があるのでは・・・
新聞命(しんぶんいのち)の私にとりましては衝撃的なニュースが
飛び込んで参りました。名門・ニューヨークタイムス(NYT)の
マーク・トンプソンCEOが「印刷をやめる」と発言したのです。
やめるとは新聞を発行しない、廃刊するってことです。
如何に新聞の購読者数が減少したとは言え、日本の新聞社では考えられない話です。
廃刊の理由は、コロナ禍で4〜6月だけで広告収入が半減、高級ブランドなどは
広告を控える傾向にあります。今後、元に戻るのは難しいというのが、
表向きの理由です。しかし、本質はそうではありません。
NYTの6月の購読者数は84万部。前年同月比で4%の減、
年々落ち込み歯止めが掛からないのが現状です。もちろん、NYTだけではありません。
CEOは12年に英国BBC放送会長からNYTに転じた人物です。
彼が目指したのは新聞はデジタルの時代であると、デジタル版の強化です。
当初は社内で激しい抵抗にあったのですが、動ぜずデジタル版を推し進めました。
転機が訪れたのは、トランプ大統領が就任、連日ツイッターで発信を繰り返したことです。
新聞ならば大統領のツィートに対して翌日の朝刊で記事を掲載するのですが、
あまりの頻繁さと分野が多岐に渡りますので、翌朝の新聞ではピントが合わない。
そこでNYTは辣腕記者を集め、ツィートにデジタル版で瞬時に反応、
それが功を奏し、契約数は10万契約に届かずモタモタしていたのが、
この4年あまりで570万に増加。今年の4〜6月期、史上初めてデジタル版の
売上が紙媒体・新聞を上回りました。
そうなのです。トランプ大統領に批判的だったが故に、トランプ批判で契約者が増える。
皮肉といえば皮肉な話ですが、デジタル版は記者たちも読者の反響が
その場でわかるので一層腕によりを掛ける・・読者が増える・・
そんな相乗効果もあってデジタル版契約者を1000万にする意気込みです。
トンプソンCEOは新聞出身でないだけに、紙への拘りがないのも幸いしたのでしょう。
でです。CEO曰く「今の部数が維持できれば広告収入がゼロになっても、紙の発行で
利益をあげられるが長期的には維持は難しい。よって20年以内には印刷をやめることに
なるだろう」と新聞の廃刊を示唆しました。
20年以内ってことは、来年なのか10年後か15年後か・・
それは定かではないのですが、トンプソンCEOはこの9月で退任します。
新CEOにはメレディス・コピット・レビアン氏、経済誌「フォーブス」出身で
現COOが就任します。NYTでは最年少・史上2人目の女性です。
さすがに米国と申しますか、
日本の新聞社では20年先であっても廃刊もあるなどと、
現実を冷静に見た発言をする経営陣はいませんし、
ましてや女性をトップに据えるメディアはありません。
だから、どうだって、話ではありませんが
新聞も様変わりせねば生き残れないのだと改めて思うのです。Goto

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