施政方針演説

政治は理想と現実の狭間で妥協するものです。
10月の所信表明演説では「新型コロナウイルスの感染拡大防止」と
「戦後最大の経済の落ち込みの回復」を掲げた菅首相・・・・
開会された通常国会での施政方針演説では、コロナ第3波を封じ込めれず
「コロナ感染症を1日も早く収束させる」と感染防止一本に舵を切りました。
新聞命(しんぶんいのち)の私は、歴代首相の施政方針演説を新聞紙面で
つぶさに読むことが好きです。官邸に詰める官僚が演説原稿を執筆するのでしょうが、
時の首相の想いを文学的な表現を交えながら、巧みな筆裁きで書き込んでいく・・・
・・・演説原稿ですが・・当代を代表する文章だと思って読み込みます。
今回の施政方針、メディアの評価は散々です。
でも、時の首相が国の方針を発表するのです。闇雲に批判しないで、
「何を訴えたいのか」冷静に判断したい・・・そんな思いです。
コロナ対策。特措法を改正し、罰則や支援に関して規定するため、
議論を急ぎ、早期に国会に提出すると述べています。
曖昧な表現ですが、評判の悪い特措法を改正するってことです。注視したいです。
経済対策。「戦後最大の経済の落ち込みを回復」させるとの所信表明は
何処へいったのでしょうか。記載漏れでしょうか。書かれていません。
「コロナ対策」を優先させるので「なし」なのでしょうかねぇ。
施政方針演説に期限がある訳ではありませんが、所信表明との整合性は
必要です。経済対策の方針も示すべきではないでしょうか。
いまは方針を出し難いのはわかります。でも収束後、あるいは収束に
近づいたらどうするのか・・書き込まれるべきだと思います。
そうすれば、ブレたなどとは批判されません。
外交・安全保障です。米国の新大統領と面談してから・・・しか、決められないとのこと。
従属国そのものですが、実は独立の気概を見せる千載一遇のチャンスでもありますが、
残念ながら、その準備と覚悟ができていないようです。
外交・安全保障は国の基本です。米国へのメッセージは必要なのではないでしょうか。
力が入っているのは、脱炭素とデジタルです。
ぜひ、強力に推し進めて欲しいのですが。
グリーン社会の実現は簡単ではありません。産業界との軋轢も覚悟しているのか。
気になるところです。デジタルは超目玉です。
これがコケたら政権のやろうとすることが見えなくなります。踏ん張って欲しいですね。
それと、地方活性化です。
農業を成長産業にするのは理解できますが、担い手の問題に手がついていません。
一極集中の問題も、デジタル化から攻めないと簡単ではなさそうです。
ふるさと納税制度は生みの親ですが、踏み込みが足りません。
と、読み込んで参りますと、どれも実利的です。
政治は理想と現実の狭間で妥協するものです。
現実に偏り過ぎの嫌いはありますが、携帯料金の値下げ、不妊治療費の支援など
きめ細かですが、踏み込み不足は免れません。
それと、どうしても批判的にならざるをえません。
なぜだろうと、考えてみますと、施政方針です。そこには歴史認識が必要です。
そして、青臭いのですが、政治理念だとか、哲学とか宗教観も滲まねばと思います。
とは、申せ、批判一辺倒では前に進みません。まずはコロナ禍の収束ですね。Goto

コメント