他山の石

米新聞・・白人偏重に謝罪の動きが・・・
「改むるに憚ること勿れ」とは論語ですが、米国の新聞社が・・
かつての黒人差別についてのありようを謝罪する動きが出ています。
アメリカ社会に根深い人種差別があるかを浮き彫りにしています。
140年の歴史を持つ、ミズーリ州の有力紙「カンザスシティー・スター」は
昨年末、編集長が「初期の歴史の大半において、黒人市民の権利を奪い、
無視し、軽蔑してきた。申し訳ない」(We are sorry!)と。
きっかけは白人警官の暴行で黒人男性が亡くなった事件を発端に・・・
「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)」と訴える運動の広がりで
カンザスシティーでも抗議運動が起こったからです。
直接的には同紙の黒人記者が運動を取材、集まった人たちが平和的に声を上げて
いるにもかかわらず、地元テレビなどの報道はあまりにも事実と違うことに
衝撃を受け・・・新聞社としても過去の報道を謝罪すべきだと訴えたからです。
訴えに編集長は即断、謝罪だけでなく過去の報道ぶりを検証することなりました。
浮かび上がったのは、スター紙は予想以上に人種差別に加担していた実態でした。
20世紀初頭、創業者は白人社会の構築に奔走し、記事で黒人を取り上げる場合は
犯罪のみ。人種隔離政策への反発が強くなった20世紀半ばでも同紙は沈黙、
当時の編集長は「黒人の記事は必要ない」と語っていたといいます。
編集長は「過去の報道は黒人社会へのひどい仕打ちだったほか、黒人の市民にもたらした
真の豊かさを理解する機会を白人読者から奪った」と書簡に書き込みました。
同様に米西海岸の有力紙ロサンゼルス・タイムズも昨年・過去の報道を謝罪する
社説や関連記事を載せました。
「1881年・創刊から少なくとも最初の80年間は白人至上主義に深く根ざし、地元の
実業家や地主の利益を促進する組織だった」と振り返り「組織を代表し、差別の
歴史を謝罪する」と社説で刻みました。
「改むるに憚ること勿れ」ですが。考えてみますと、色んなことが見えます。
トランプ大統領の分断と差別助長の政策が反面教師となって、
ブラック・ライブズ・マター運動が定着してきた、皮肉です。
日本の新聞社と米国の新聞社はその生い立ちが全く違うのが分かります。
日本は明治の独立新聞に代表されるように「権力の監視役」として成長してきました。
米国では、そもそもが新聞は利益追求のビジネスが根幹にあるということです。
問題はここからです。白人偏重の歴史を改めることに何の意義もないのですが、
打ち続く読者離れで、果たして新聞ビジネスが成り立つかどうか。
偏重を改めて、真のジャーナリズムを発揮できる新聞に生まれ変わったとき、
新聞の役割が霞んでいたとすると、なんとも悲劇な話ではないでしょうか。
日本の新聞も他山の石として欲しいと願います。Goto

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