日本マスク史からみて現代の総マスク時代はどの系統に入るのかな?
マスクの効用は絶対なのでしょう。巷でマスクを掛けていないと白い目で。
昨今はオシャレなマスクも登場、ファッションに組み込まれたようです。
私的にはそもそもが使い捨ての消耗品、感染防止になればと思うのですが・・
日本史家の磯田道史先生。読売に月一回、「古今をちこち」と題して、
古書から歴史を紐解きながら「楽しくてためになる」・・コラムを寄せています。
今回のお題は・・・・・・「最古のマスク広告」・・広告の文字に目が止まりました。
私のプロ根性もなかなかのものです。
広告が掲載されていたのは・・『滑稽教訓 御陰参』三編上之巻、摂府・暁鐘成門人
平安・山川澄成戯作・・・御伊勢参りの戯作本、付録の広告欄。
古文書をすらすらと読みこなす磯田先生には、感動します・・
広告は人面に大きな布が描かれ「平生保護 不浄魔除 御鼻袋」と大書され
周囲には・・・コピーライターなのか、店の店主が書いた・・刺激的なコピーが。
先生の訳は「この袋は平生(つね)にごくわい(御懐)中にあって、
悪しきか(臭)ぎのいたし候せつ、鼻のくちへ御あてなされ、両方の紐を耳へ
御かけなされ候へば、美香(よきか)をかぎて、悪しき臭を除、御身の御養生に
相成りひとびと長寿(ながいき)をし玉ふ良方なり、お伊勢御旅ゆきには一しほ
よろしくぞ候」・・・販売元は「大阪心斎橋通り順けい町より二丁北へ入、西側」の
「本家 鹿(かぐ)の家真萩」取り次ぎは京都の柳馬場仏光寺上るの「桃柳軒玉山」だと。
発売元の「鹿の家真萩」は水野忠邦の天保の改革で潰され閉店しているので、
このマスクが販売されていたのは1830年代の前後ということになるそうです。
面白いですねぇ。幕末期に今と同じ形式のマスクが旅行グッズとして
販売されていたなんて。広告人としては・・健康管理と魔除けにマスクをどうぞ・・
となると、健康意識の高い人や商家の主人などには・・・
なかなかのコピーです。女性に薦める視点はないようですが・・・
磯田先生曰く「日本マスク史は二つの起源を持っている。石見銀山の『じん肺防止マスク』
宗教的な魔除け・臭気の清潔健康観からくる『上方有職マスク』の二系統」だと。
このコロナ禍で日常化したマスクは「上方有職」の系統に入るのだろうか
それとも憎きコロナウイルス対策だから「じん肺防止」系だろうか・・
いずれにせよマスクを「御鼻袋」とは言い得て妙だと感心しました。Goto
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