大学のネーミングライツ

国立大学の施設が色んな企業名で呼ばれる日も遠くないですね。
広告の仕事をしていますと、何を見ても広告媒体にならないかと気になります。
職業病と申しますか、習性なんでしょうねぇ。広告は「社会を映す鏡」だと言われますが、
広告そのものがそう言わしめているのですが、広告媒体も社会を映す鏡ではと思います。
2004年、政府は国立大学を国の組織から切り離して自由度を高めるとして法人化しました。
狙いは色々ありますが、国に保護されていないで、競争原理の導入によって大学運営を
効率化させる。運営交付金の減額とともに戦略的な経営活動を促したのですね。
政府は国立大って親方日の丸、よほどぬるま湯だと思っていたのでしょうねぇ。
法人化されて18年です。実態として何がどう変わったのでしょうか。
狙い通りの効果があったのでしょうか。文科省は検証しているのでしょうかねぇ。
毎日新聞の調べです。国立大86校中、ネーミングライツ制度を導入している大学が
34校あります。このうち27校では協定などが成立しています。
ネーミングライツとは命名権のこと。国立大が実施できる収益事業の一つです。
学内の施設を広告媒体としてスポンサー企業に販売できるってことです。
学食のトレーに商品広告を掲載することも、学内にサイネージを設置することも可能。
そして施設にはネーミングライツが可能。キャンスパスそのものが広告媒体ってことです。
それが良いことなのか。問題があるのかは、教授会か理事会の判断なのでしょうが。
大学の運営費を賄うには安直な方法としてネーミングライツ化が浸透しています。
企業としては、学生の採用計画としては認知度をあげるのに有効です。
取り分け、理工系の就活生へのアプローチでは効果のある広告媒体です。
広告の分野では命名権ビジネスは新しいものではありません。
自治体の文化施設やスポーツ施設が企業名を冠するのはよく見かける風景です。
国立大となるとスポンサーも限定されますが、発想次第では面白い媒体です。
大阪教育大の付属図書館と分館にある学習スペースに大手教科書会社が
ネーミングライツされました。ただ命名権だけではなく、ICT(情報通信技術)教育推進の
包括連携協定も結び、学内に「デジタル教科書体験コーナー」も設置されました。
学生に最新のデジタル教科書に触れたり、習熟したりする機会を増やしたかった
大教大にとっては渡りに舟だとか。同社は愛知教育大とも3年間の付属図書館内施設の
ネーミングライツ契約を結んでいます。
神戸大は9社と学内10施設の協定を交わし、工学部食堂には企業名が冠されました。
奈良女子大では工学部の開設に伴い製造業2社と協定を結び、理系女子採用に力をいれる
企業2社と協定を結び、総合研究棟S棟1階ラウンジに「企業名」を付けました。
また、工学系のH棟そのものを企業名棟としました。
「今日の二時限目はパナソニック棟のソニー教室だ」と学生が言うようになると・・・
そこまで来るとどうかと思いますが、学生の抵抗感は意外にないそうです。
背に腹は変えられないのか。教授陣からの批判もないとか・・・
広告を生業とする身としては。
もうひと工夫したいものです。例えばイオンといえば植林です。
企業の社会的貢献と申しますか価値を大学の施設名にするようになれば、
学生側の評価もまた、違ってくるのではと思います。
広告は即効性を求めるだけが広告ではありませんので・・・Goto

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