ダムの堤体に高圧洗浄機で絵を描く・・・・
私が苦手なもの、色々ありますが・・音楽とか絵画・芸術の類はまるでダメです。
そのせいでしょうか・・美術館や博物館などには滅多に足を運びません。
抽象画を観てなるほどとか、綺麗だとか、特別な感傷が湧くことはありません。
その意味からでしょうか、私にはデリカシーがないとか、芸術的センスがないと言われます。
敢えて反発すれば、文学には興味があります。
文学にも色々ありますが、中国の古典小説には目がありません。
壮大な中国の地を駆け巡る漢たちのロマンには胸がときめきます。
心に沁みるシーンを目にしますと、脆くなったのでしょうか、無性に涙が溢れます。
新聞は良いなぁ・・・・と思う延長ですが、新聞が紹介してくれる・・アートで
これはなるほど、凄い心が打たれるそんなお宝の紹介にはさすがに感動します。
栃木県立美術館に貯蔵されている写真が毎日新聞の夕刊に掲載され驚かされました。
写真は・・・栃木県足利市の松田川ダムの航空写真です。
ダムですから・・・膨大な貯水壁があります。そのコンクリート製の巨大な
堤体(そう呼ぶそうです)をキャンバスに力強い花々(五葉躑躅の花)が描かれています。
こんなダムの壁にどうやって描いたのだろうか・・興味が湧きます。
画家と言って良いのでしょうか・・・壁に絵を書くなら・・バンクシーですが、
この壁画の作者はドイツ人のアーティストでクラウス・ダオヴェンという人です。
でです・・この絵は絵ですが・・絵とは少し違います。
長年の風雨によってコンクリートに付着した汚れを除去することで誕生します。
絵の具を使うのではなく、汚れを除去するという引き算で制作します。
ダオヴェンは世界中のダムに植物や動物、魚などを描くプロジェクトを行なっています。
日本では松田川ダムが正面から安全に鑑賞できるダムだと選ばれました。
技法は素描を測量機器とレーザー光線を使ってコンクリートに下書きします。
次にドイツから熟練した技術者が来て高圧洗浄機を使って汚れを除去して
絵を完成させるというものです。実に面白いですねぇ・・・芸術的価値はわかりませんが、
このスケールには感動します。
さらに感動なのは・・・この絵には延命装置がないってことです。
自然の風化に身を委ねるため、数年後には再びの汚染で消えてしまいます。
それが自然の摂理であり、芸術の運命だと作者は言います。芸術音痴には妙に納得できます。
記事には現代のロマン主義ともいうべき儚くも美しいこの作品、
風化していて現在では鑑賞することはできない。唯一プリントが許された・・
写真でのみ楽しむことができる。こんな絵画なら私も鑑賞してみたいと思います。Goto
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