使命感

本屋の最大手・紀伊國屋書店に老舗の心意気をみました。
学生時代・世田谷区に住んでいました。京王線が通学の足。
何をするにも拠点は新宿でした。10月になると毎年、報道で新宿駅10・21騒乱や
西口でのフォーク集会の模様が流れますと、胸が熱くなります。まだ若いかな。
学生です。時間ができますと、いや、余りますと。そうです、今では人生の残り時間が見えますが
そのころは、時間は無限大のような気がしていました・・・
行くところは風月堂でお茶を飲むか、紀伊國屋書店です。新刊の山に心がときめき・・
それから、階段を上に上にと上がり、立ち並ぶ本の森を彷徨ったものです。それで満たされた気が。
当時は新刊を買うにも金が無く、最後は文庫本の前で、あれこれと悩み・・ポケットを探り
買い求めたものです。紀伊國屋書店と聞くと半世紀前の新宿店が浮かびます。
紀伊國屋書店は私にとっての永遠の青春です。いや青春の墓標かな。
その紀伊國屋書店が・・・2027年・創業100周年を迎えるにあたって、
国内外の店舗を現在の2倍である200店に増やすとぶち上げました。
全国の書店数は03年の2万880店舗から21年度には1万1959店舗に激減。
日本中に本屋さんのない街が増え続けています。
そんな、ある意味、本屋真冬の時代に、出店計画を倍増させようっていうのです。
読書離れで出版不況が叫ばれています。ここで新たな挑戦に舵を切るのはなぜでしょうか。
「何とかしないといけない、という使命感からです」と書店の幹部はいう。
書籍との接点・タッチポイントとしての書店がないと日本人はさらに本を読まなくなる。
若い世代の国語力が著しく低下、OECDの世界各国15歳を対象にした学習到達度「PISA」で
日本は数学。化学分野は何とか上位を維持しているが、読解力の分野は15年の6位から
18年は11位に大きく順位を落としています。
家庭蔵書数と学力の相関関係、文科省の学力調査によると、蔵書数が多い児童・生徒ほど
各教科の平均正答率が高い。蔵書数200〜500冊の児童と0〜10冊の児童では正答率に
17.7ポイントの差があるそうです。また大学生の2人に1人は「読書をしない」そんな
悲しい調査結果もあります。
本を売る書店がないと、出版社から良い本が出て来なくなります。
本が売れないと本屋は潰れる・・・究極の知的悪循環、これが日本の現状です。
これではいけない。・・「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂」
ビジネスです。採算がないとは到底思いませんが・・最大手で老舗の紀伊國屋書店が
100周年に向け見せる使命感・心意気に感動する私であります。
新聞も読んで欲しいと思いつつ。Goto

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