砂漠で生きる

日本の特殊鋼メーカーも大したもんです。

もう何年前になりますか・・・30年以上になります。
イスラエル、ベエルシェバにベン・グリオン大学があります。訪れました。
イスラエル建国の父と言われる初代大統領・ベン・グリオン夫妻の
墓があります。そこで壮大な計画を聞いて関心したものです。

ベン・グリオン大学創立の目的は、国土の6割を占める砂漠に人が暮らせるようになることです。具体的にはネゲブ砂漠の開発であります。地中海の水をパイプラインでデッドシーまで持ち込み、地上との400メートルの落差を利用して水力発電を起こし、その電力であらゆる動力を動かす。(当時は太陽光発電はありませんでした)

砂漠に海水のため池を数箇所作りそこで魚の養殖をする。汚れた海水はマイクロアルジェ(微細藻類)の力で浄化・巡回させる・・そして砂漠に暮らす人々のタンパク源を供給するとか。少量の水分で農作物が育つために植物の改良や点滴灌漑手法を研究するとか。ともかく、砂漠で人が生きていけるためにあらゆる研究・開発がされていました。当時は教授陣・3000名、学生5000名の規模でした。今では1万2000人の学生が研究に励んでいるそうです。

日本の特殊鋼を手掛ける企業が、砂漠のようなアルカリ性の土壌でも作物が育つ次世代肥料を開発・27年度にも商品化するとの報を知り、思わず砂漠でありながら緑に囲まれたベン・グリオン大学の丘の上にあるベン・グリオン夫妻の墓を思い出しました。

次世代肥料・・・素人には難しいのですが、乾燥地はアルカリ性の土壌が多く、アルカリ性の土壌は植物が土の中にある鉄分を吸収できず生育しない。
特殊鋼を製造する過程で副産物を再利用する技術をもとに03年から植物の鉄分補給を促す資材を販売してます。さらに鉄分を吸収しやすい原材料として「ムギネ酸」に着目、それが、土の中にある鉄分を溶かして植物の根に吸収させ、光合成を促す「プロリンデオキシムギネ酸(PDMA)」であることを突き詰めた。

この手の肥料は「キレート鉄」がすでに普及しているそうです。市場は1000億円と推定されています。「PDMA」は約10倍の効果を発揮する画期的な商品です。世界人口の4分の1が飢餓に苦しんでいると言われます。

その大半がアルカリ性土壌の砂漠に暮らす人たちです。
日本の特殊鋼メーカーが「不毛な土地を農地に変える環境貢献」ができるとなると、ベン・グリオン大学は先を越されたことになるのか・・・

砂漠で生きるために、両者の関係を密にして・・・
研究のさらなる発展を願わずにはいられません。Goto

 

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