有料購読者1000万人

ニューヨーク・タイムズ・好決算。翻って日本の新聞社は?

すわ・・・新聞復活か?そんな気にさせる報道を目にしました。
米国、新聞の大手であるニューヨーク・タイムズが電子版と紙媒体、
アプリを合わせた有料購読者が1000万人を突破、1008万人になったと発表。

本来の紙媒体の購読者は67万人。一時は100万部に迫る勢いだったのが
4割近く減り、紙の部数は衰退の一途をたどっていますが、デジタルのみの
契約が941万人、前年と比べ21万人増えました。

通常のニュースだけでなくスポーツ情報やゲーム、料理のレシピなどと組み合わせたパッケージ販売が好調。売上高は前年同期比9.3%増の5億9834万ドル(約903億円)最終利益は同46.4%増の5361万ドル(約80億円)でした。

米国の新聞は日本と違い全国区の新聞はありません。
しかし、どこの都市にも街にも存在、権力を監視する役割を果たしていました。
それがデジタルの登場で次々と廃刊、あるいは糾合され、往時の面影はなくなってしまいました。

ニューヨーク・タイムズも同様。10年ほど前には経営危機が叫ばれ、
存続も危ないと言われていましたが、新聞経営とは無縁のIT系の経営者を
英国から招聘、デジタルへの大胆なシフトチェンジを図りました。

併せてトランプ前大統領が誕生、連日連夜、当時のツイッターであらゆるジャンルについてつぶやき続けたため、それに呼応する体制を敷くことで、従来の編集システムを大胆に改革、ツイッターに対して瞬時に論戦を挑み、デジタルで批判を展開、それがニューヨーク・タイムズを甦らせました。

皮肉な話ですが・・・あのトランプがニューヨーク・タイムズ復活の狼煙に
新聞衰退の歯止めになりました。その後、ジャーナリズムを追求するという
本来の姿を失わず・・ニュース中心の電子版読者にパズルのアプリなど合わせて契約を促しデジタル読者の単価をあげることで売上高を伸ばす経営努力が実りました。その結果、広告収入も堅調になり、ニューヨーク・タイムズ復活となりました。

翻って日本の新聞ですが。残念ながら有料購読者は減少の一途を辿っています。
800万部の発行部数を誇っていた朝日新聞が350万部を切ったのではないかと
言われています。他の全国紙も部数を落とし、ローカル紙に至っては、資産を不動産に置き換えるなど、別の収益を模索することでかろうじて発行を続けている有様です。

米国と日本では国土の広さも人口の構成も違います。同等な判断はできませんが、少なくとも有料の電子版会員は日経以外には育たないことは明確になりました。電子版はあくまでも紙の補填以上も以下もありません。一方電子版ではYahooやGoogleのニュースが無料で読まれることで新聞そのものが存在意義をなくしています。

その結果、新聞の命である新聞記者が経費削減の下、減り続けています。
ニューヨーク・タイムズの経営復活を真似ることはできませんが、新聞社の最大の財産である新聞記者のノウハウを商品化するなど日本ならではの新聞復活を
考える必要があるのではないでしょうか・・・

新聞命(しんぶんいのち)の私としては・・・
新聞の経営者に発想の転換を迫ってみたいのですが・・・
新聞記者出身の経営者が大半です。ジャーナリストを気取っていては無理ですね。他の分野から経営者を招聘するしか道はないのではと思います。Goto

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