修己治人

自分の修養に励んで徳を積む者のみが生成AIと共存できる。

読書感想文って、自分で書かなくても良いらしいですね。
知ってましたか?生成AI・ChatGPTが代書してくれるそうです。
嫌だったでしょう。子どもの頃、作文の時間が。宿題で読書感想文なんて出された日にゃ、提出日まで実に鬱陶しくなかったですか。

私の知る限りでは、文章を書くことが苦手な人と人前で話すのが苦手な人がいます。もちろん、両方とも得意な人も稀にいますが、大概は両方が苦手の人が多いですね。なぜ、でしょうか。簡単です。自分の頭で考えようとしないからです。

ChatGPTって、22年の11月に世に出て、僅か1年と数ヶ月で、もう一般化され若い人たちの多くが使いこなしています。実に便利ですね。わからないことを質問すれば、瞬時に回答してくれます。ですから、読書感想文なんてお手のものです。えっ・・・そんなことってインチキですって。そう思います。

米国の話です。ニューヨークタイムズ社は、ChatGPTを開発した米オープン社を提訴しました。「コラ・・うちの記事がAIの学習に無断使用されているぞ。これではジャーナリズムの根本が揺らぐじゃないか」と憤ってです。生成AIの急速な発展に伴い、著作権が侵される。提訴の内容は「ChatGPTによる、当社のジャーナリズムに対する巨額投資をただ乗りしようとしている」著作権に対する適正な対価を支払うべきだと主張する。

GPTが生成した文章とニューヨークタイムズの記事が酷似している事例を列挙している。そして連続する10の文章が記事と全く同じだった例などを示し「無許可複製の証拠」としている。損害賠償の金額は示されていないが、「数十億ドルにのぼる」と訴える。オープン社側は「ニューヨークタイムズとの交渉は建設的に前進していた。訴訟という展開に驚き、失望している」との声明を出した。

そしてこう主張している。インターネットで公開した報道機関の記事を開発に利用する事例も増加している。オープン社側は米著作権法が認めるフェアユース(公正利用)にあたり合法だと主張する。

この提訴、米連邦地裁がどんな判決を下すのか?興味深い。ニューヨークタイムズが勝訴すれば、報道機関の記事のみならず、GPTが記名の記事を利用すれば対象になることになる。そうなると、ChatGPTの普及に制限が掛かることになる。それでも良いのだが、この裁判、裁くのが、生成AIだったらどうなるだろうか。自分で自分の首を絞める判決になるだろうか・・・興味深い。

まぁ・・・生徒の読者感想文をChatGPTに代筆してもらうことなど、可愛い話です。でもです。生徒たちが自分の頭でモノを考えなくなると、困ったことがおきます。ChatGPTに何を質問して良いのかすらわからなくなります。そうなれば、ひょっとしたら人間がいままでの人間でなくなるかも知れませんね。

こんな4文字熟語があります。修己治人・・・「己を修めて人を治む」と訓読します。意味は自分の修養に励んで徳を積み、その徳で人々を感化して、世を正しく治めることです。儒教の根本思想だと言われます。

ChatGPTからもう誰も逃れることはできません。ニューヨークタイムズの提訴も生成AIを否定しているのではありません。米国式に、無断使用なのだから、対価を払えと言っているだけです。時代は完全にAIの時代に移行してしまったのです。生徒が感想文を書くのにChatGPTを使うことを誰も止めることはできません。でもです。

敢えて申せば人は誰でも甘え・自惚れ・おごり・マンネリ・やっかみの病気に罹ります。侵されます。読書感想文一つとっても、この病気に侵されて、ChatGPTを活用するのか。それとも自分の力、能力で自らを拓いてみるのか。
修己治人の生き方ができるならば、生成AIと共存できるのではないでしょうか。Goto

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