あぁ・・八代亜紀逝く

お酒はぬるめの燗がいい。肴は炙ったイカが・・・・しみじみ飲むか。

驚きますねぇ。1月11日の朝刊4紙(朝日・毎日・読売・日経)一面の名物コラム・朝日は天声人語。毎日は余録。読売は編集手帳・日経は春秋・・(私は毎朝・どんな大きなニュースが掲載されようと新聞はこのコラムから読みます)の内容が全て同じなのです。そんなことって滅多にないのですがねぇ。

もちろんと敢えて申しましょう。各申す、私もファンのひとりだったのですから、当然と言えば当然です。73歳で急逝した歌手の「八代亜紀」さんを偲ぶコラムです。それもです。凄いのは全てが「舟唄」を回想に使っているんですから。まぁ、切り口はそれぞれの味があって、なるほどと思う。

春秋は「海鳴りのごとく響く舟唄」と表現。余録は倉本聰さんが脚本を手掛けた映画「駅・STATION」には3度も「舟唄」が流れたと。

面白いですねぇ。天声人語も余録と同じ。映画・「駅・STATION」の高倉健と倍賞千恵子の居酒屋での掛け合いを取り上げ「正月もくにに帰らないのかい?」と高倉健演じる警察官が「えぇ」と答える。居酒屋女将を演じる倍賞千恵子が・・店のテレビから流れる「お酒はぬるめの燗がいい/肴はあぶった」と八代亜紀が歌う・・この歌がなかったら映画は成り立たなかったと思わせいっぱいで筆を走らす。

余録ではなく、余談ですが最近の天声人語。ちっとも面白くない。だって批判ネタを書くのが天声人語だと勘違いしているのか、形式的な如何にも朝日らしい無味乾燥な内容が多いから・・・でも八代亜紀さんの追悼は情緒的で往年の天声人語が浮かぶ。

編集手帳は「舟唄」は「舟唄」だが切り口が違う。美空ひばりの「柔」が世に出た時、男着物でステージに、八代は舟唄ではないが、「沖の鴎に深酒させてょ いとしあの娘とょ朝寝する ダンチョネ。・・・この男歌をドレスのまま歌う。歌謡史を辿ると意外に珍しいことだと作詞家・阿久悠は振り返る。八代の八代たる所以だと歌唱力を讃える。

いずれにしても全国紙4紙が同じ話題であるってことは、それだけ彼女が国民的歌手であったことになる。それと、4紙の一面コラムを書く、筆者たちが、だいたい同世代のそう、もう峠を越えた上がり世代だということだ。ふと思う。新聞の一面・看板のコラムがロートル(失礼)が書いていることが、もはや、新聞が若い人たちにとって過去のものである証左ではないのか。その現実が、八代亜紀世代だということだ。

もちろん、新聞命の私は・・・コラムニストよりももっと、八代亜紀世代だ。
だって、学生時代・書生を務めていた川村継義代議士の事務所が八代市で、選挙運動の手伝いをしていたことがある。八代で大変な苦労をして歌手を目指す凄い女の子いると聞いたことがあった。・・・多分だが私の方が筋金入りの八代亜紀のファンだ・・ご冥福を祈る・・・Goto

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