灰色のサイ           

容易ではないが「まさかそんなことない」想定外の出来事に備えたい。

こんなことを論じるのは・・・能登の被災者には申し訳ないのだが・・・
自衛隊の首脳に・・・最も心配している事態は何か・・と尋ねる。
台湾海峡や朝鮮半島の有事を予想したのだが、返答は「首都直下や南海トラフの大地震」だった。その趣旨はこんなこと。

自衛隊はもちろん、大地震をにらんだ訓練を重ねているが、それだけは国としての対策は不十分だ。道路や鉄道、エネルギーなどのインフラが壊れ、社会の機能がマヒしたらどうするか。政府と自治体、民間が連携し、対策を急がないと対応できない。

まさかの事態は起きないだろうという楽観が怖い。
日経のオピニオンからの引用だが、ロシアがまさか、ウクライナに侵略するとは。
21年の年末・米情報機関は進攻があり得るという警告を発していたそうだ。でもこれほど向こう見ずな侵略をするとは・・・多くの人は思っていなかった。まさかの展開になっている。

中東もそうだ。イスラエルとサウジの和解が進み、地域の緊張が和らぎつつあって。でもハマスの奇襲(23年10月)が一夜にして構図がひっくり返った。今年は米国大統領選がある。トランプリスクに備えねばならない。

当選すれば、まず米国がNATOから離脱する。トランプ政権下で国防長官を務めたエスパーは昨年12月・MSNBCの番組でトランプが当選したら最初にやることはウクライナへの支援停止。次にNATOからの離脱に動くと。さらに、韓国や日本から米軍を撤収させるかも議論になると。欧州ではトランプシナリオをめぐる検討が静かに始まっているという。

日本でも外交・安保の担当者は、トランプ政権の復活を今年の最大リスクにあげる人が多いのだが、具体的な対策について、政府内で議論されている形跡はない。2期目のトランプがより強引なわが道を突き進んだら・・今から真剣に対策を考えるべきだと・・・日経のオピニオンは警鐘を鳴らす。もっともだ。

金融界では、誰もが存在をわかっているのに、軽視されがちな重大リスクを「灰色のサイ」と呼ぶそうだ。普段はおとなしいが、暴れたら手をつけられないサイの性質に由来する。

能登半島の地震はそんな「サイ」が身近に潜んでいることを社会に警告した。
とても容易なことではないが、「まさかそんなことは」という楽観論を捨てて、想定外の出来事に備えなければならない。Goto

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