JAL社長交代

顧客第一の姿勢は稲盛イズムの継承者。

4月から・・JALの社長に専務の鳥取三律子氏が昇格する。
世間は驚きを持ってこの人事を知った。女性で客室乗務員出身の社長は初。
あのナショナルフラッグのトップに女性が・・・そう思った私。そして、とりわけジェンダーが進まぬこの国で・・・女性だからと驚く自分が恥ずかしい。

JALと言えば、歴代・運輸官僚の天下り先。国策会社だった。
権威主義でどうしようもない企業だった。その結果・赤字企業になり誰が経営しても、官僚体質の社風は変わることがない。そんな見栄ばかりの会社でした。
その結果、放漫経営の限りを尽くし14年前に経営破綻。上場も廃止。

さてどうするか。時の政権は民主党。運輸大臣、京都出身の前原誠司さん。
現代で三顧の礼を持って迎える話なんて中国の三国志ではあるまいし。と思ったのだが、喜寿を過ぎた京セラの稲盛和夫さんに日参。再建を託した。
誠意が通じたのでしょうねぇ・・・最高経営者になることを承諾。

それからは伝説ですね。経営の神様ってナショナルの松下幸之助さん以外に存在するなんて有り得ぬと思っていたのだが・・存在したのですねぇ。稲盛イズムをJALの隅々に浸透させ、僅か3年で再興させた。その経営手腕に瞠目した。

稲盛さんがJALの社員に説いたのは「JALの目的はお客様を目的地に安全に運ぶことだ。そのために自分は何をなすべきかを考えろ」です。それって当たり前のことですよねぇ。でも当たり前ではなかったのですね。

とりわけJALの幹部は超エリートばかり。彼らの反応は「そんなことは言われなくてもわかっている」「この爺さん何をいっているのだ」・・そんな抵抗の嵐、でも稲盛さんは一歩も引かず。「あなたのその任務は、今やっていることは、お客様の安全を考えていますか」と問い続ける。思想改革です。

そして、経営数字。「赤字は犯罪」赤字に対して、鈍感であることは「お客様の安全を考えていない」ことになると、赤字体質に徹底的にメスを入れる。稲盛経営の真髄は、アメーバ経営。どんな小さな単位であっても、一つの経営単位として一つ一つが黒字化されねばならない。その徹底です。意識改革です。

優秀な社員たちです。横を向いていた社員たちですが徐々に稲盛イズムが浸透。その結果、目覚ましい勢いで経営改善されました。そして4年後に再上場・JALは再建されたのです。コロナ禍はJALのみならず、航空会社を直撃、未曾有の危機に。しかし、JALは稲盛さんの薫陶を受けたDNAで耐え抜きました。

その立役者の現社長・・・6年の任期を機に鳥取氏にバトンを渡すことに。その理由は「お客様視線を第一に社員の力を最大限引き出す、新しい時代のリーダーとしてJALグループの価値を持続的に高められる人材だと確信する」と説明する。

コロナ禍は航空事業に頼るリスクが顕在化した。鳥取氏がこの先どんな舵取りを目指すのか・・記者会見で「お客様を一番に思い、先進的で楽しそう、そのためにも心から働きたくなる、社員一人ひとりの能力が発揮できるようなグループにしたい」と顧客第一の姿勢を貫く。そうです。稲盛イズムの継承者だから、鳥取氏が選ばれた。そう思う。乞うご期待である。Goto

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