読売出版広告賞

どこの世界・分野にも・・・格式なんてバカなものがあるのですねぇ。

写真を参照して下さい。30段の迫力ある・・・広告は1/22・日経の朝刊に掲載された・・・FUJIFILMの広告です。創業90周年を迎える富士フイルム。
「地球上の笑顔の回数を増やしていく」をアスピレーション(志)として
100周年に向けて新たな一歩を踏み出します。と気合い十分の紙面です。

コピーはこんな感じです。

人は笑う。楽しいから。
うれしいから。チャレンジの前に。
緊張から解放されて。
まだ見ぬワクワクに。
何かがはじまる気配に。
新しい時代の予感に。
愛と夢と希望に。
自らの可能性に。
大切な人の笑顔に。新しい命に。
笑えるのは、人に与えられた、
最高のギフトだ。
長い歴史の中で、
世界中の人々の笑顔を見つめてきた
私たち富士フィルムグループは、
幅広い領域で人に寄り添い、
さまざまな仲間や企業と共に、
地球上の笑顔の回数を増やしていきます。

どう思いますか。この広告を。七人のモデル。制作現場ではどう扱うか。
ずいぶん考えたのでしょうねぇ。でも、私には紙面の迫力の割には
まったくピンとこないのです。どうしてでしょうか?

もう一枚の写真を参照願います。
第28回になる・・読売新聞に掲載された出版社の広告賞作品です。
私は出版社の新聞広告が大好きです。でも最近は不作ばかりと嘆いています。
表彰作品は大賞以下5作品。

大賞が講談社の・・・ブルーバックス60周年がテーマ。全5段見開き。
左側に「知らないことに出会えていますか?」・・漫画・進撃の巨人の紹介。右側は「知らないことがすばらしい」科学をあなたのポケットに。
科学の面白さを伝える10冊を紹介。

選考委員長は・・・カラー広告の「ブルー」を上手く組み合わせている。新聞という媒体の特性を見事に掴んだ作品・全選考委員の一致で、これを推したと。私の評を言わせて貰えば・・・コピーが甘い。「知ることは変わること」by養老孟司。その視点が欠如しています。本を読みなさいが出版社の広告ではねぇ。

同じ周年記念なら・・銀賞ですが、文藝春秋社の「龍馬がゆく」全5段の方が面白い。コピーも「道は百も千も万もある」出版社らしい。これも漫画ですが。シンプルです。でもです。文藝春秋の100周年にしてはいかにもケチくさい。30段ぶち抜きなさいよ。文春砲で。

特別賞がKADOKAWAの「苺ましまろ」3段8割とは小さい、如何にも、まるで窓広告程度の紙面。これで何かを訴えるのは至難。KADOKAWAにはそれなりの事情があるのですねぇ。

銀賞に入ったのは光文社の「本がすべてじゃないと書いてある本」本ってやっぱり深い・・・選考委員の北村薫さんの評が良い。「不立文字」からの流れから自然に右下の本に導かれる流れも見事だ。誠実にして緻密な作品と。
私も・・なかなか味のある広告だと思う。

そして金賞・宝島社の「団塊は最後までヒールが似合う」全30段・中尾ミエさん確信のポーズ。私はこの広告がなぜ、大賞ではなく金賞なのかが判然としなかった。でも選考委員の中江有里さんの評で理解した。「叩かれてもへこたれない、疎まれながらもたくましいヒール(悪役)万歳!」で納得です。

講談社・文藝春秋社・光文社・KADOKAWA・・・他の4社に比べると、宝島社は後発の出版社です。やることが破天荒なところがあり、それがたまらないのですが・・出版界のヒールなんですね。ですから大賞にはできない。のではないかと、理解も納得もした。

まぁ・・・ゲスの勘繰りかも知れませんが、新聞社も出版社もそれなりにくだらない・・何かがあるのでしょうねぇ。それを格式という。アホらしいが。
そうそう・・・出版広告賞には該当しませんが。富士フイルムの90周年広告、次年度の日経広告賞に選ばれますよ。それが・・・広告業界の格式・現状ですから・・・Goto

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