虚しき施政方針演説・・・

お前こそ、しっかりせい。と国民は思っている。

虚しい・・・という言葉がこれほどピッタリの・・通常国会での施政方針演説って過去にあっただろうか。私は政治オタクではないが、国会冒頭に行われる時の首相の施政方針や所信表明演説は必ず全文に目を通す。

なぜなら、演説原稿が綺麗だからである。練りに練って・・できるだけ国民の心に染み入るような格調高い言葉を紡ぐ・・・名文だと思うからである。
ゴーストライターの能力にもよるが、演説は政権の重要政策や決意を示す。

演説の内容に沿ってこの国の政治が動くと言っても過言ではない。
だから全文を丁寧に読み込むのは当たり前だと思ってる。

今年の通常国会って、異例づくめ。開会冒頭に首相の施政方針演説があり、それを受け、各党が代表質問を行なって・・・国会はスタートするのだが、今回は憲政史上初めてではないかな。いきなり予算委員会で政治改革・政治資金規制法の問題を取り上げてから・・・施政方針の演説となったのです。

それも能登半島地震の復旧を急がねばならない。少子高齢化・人口減社会にオオナタを振るわねばならない。昨年の所信表明では「経済・経済・経済」と連呼して経済の再生を柱にした。その経済を立て直さねばならない。

外交・安全保障をどうするのか。疲弊する地方をどうするのか。紛争が続く国際情勢・外交・安全保障などなど国内外に重大な課題が山積。日本の新路を明示せんと声を張り上げるのだが・・もはや誰も聞く耳を持たない。言葉が虚しく空中に消える。信憑性が全くない。中身は別として、実に虚しい演説となった。

朝日は社説で「信頼回復の覚悟が見えぬ」として、沖縄の基地負担軽減では・・昨年の演説と一言一句同じとは如何なものか。旧統一教会の問題は言及すらしない。それに「防衛装備移転三原則」の改定にも触れない。・・心ここに在らず。肝心なことが抜け落ちてはいないか。やる気があるのかと迫る。

毎日も「良くなる明日」が見えぬと。先送りできない課題に一つ一つ答えを出すと繰り返し、「国民に成果を実感していただく」と年頭に意気込んだが、今求められているのは言葉ではない。政治改革を実行する力だと、政治改革しか眼中にない。

読売までもが「新機軸の乏しさが気がかりだ」首相が取り上げたテーマは、日本がいかに困難な課題に直面しているかは分かるが・・しかし、列挙するだけで、その対策は見えない。と、やる気があるのかと叱責する。メディアが精一杯、政治改革以外を冷静に見つめてくれたとしても。

これじゃ、政治改革の決意を強調して「信を得よう」としても、現実には何もできない。やれないを露呈した演説になってしまっている。日本は民主国家です。政治を担う政党、政治家への国民からの信頼がなければ・・・どんな方針を示したとて・・虚しいばかりです。

施政方針演説は「しっかり」を連発する。被災者の生活を「しっかり」支える。重要政策を「しっかり」進める。外交の舵取りを「しっかり」果たす。賃上げを「しっかり」行う。中小企業を「しっかり」後押しする。数えてみると首相は就任以来、2500回「しっかり」を繰り返している。数える方も「しっかり」数えたと驚くのだが・・・国民からすれば、お前の覚悟はいらん。お前がまず「しっかり」せいと言いたいところだ。Goto

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