GDP・ドイツに抜かれる必然

国民は中小企業の成長に関心がない。残念だが。

日本GDP(国内総生産)がドイツに抜かれ、世界4位になったと大きく報じられている。それでどうよ、それがどうしたと、開き直る向きもあるが・・ドイツの経済が堅調なわけではない。インフレは落ち着きつつあるが、個人消費が低迷、低成長が続いている。23年の名目GDPは6.3%増だが、実質では0.3%減で3年ぶりのマイナス成長である。

ドイツの景気がよくないのに、日本が抜かれる。誰が考えても日本に問題があるってことだ。IMFはこのままでは26年に日本はインドにも抜かれると予測する。ちなみにだが、00年に日本人一人当たりの名目GDPはG7でトップだった。22年は最下位。OECD加盟38カ国のうち21位となり22位の韓国に迫られている。

どうしてこんなことになったのか。理由のもとは国民がそれでどうよ。それがどうしたと、危機感がまるでないからではないか。メディアの責任を問いたいところだ。乱暴に言えば、経済は戦争だ、そのことに思いを致さぬ国民に幸せなどくるはずがない。平和ボケも甚だしい。

いいですか。GDPが目減りしているってことは、国民の収入が増えないってことですよ。そのことに危機感がないとは恐ろしいことだ。ドイツに抜かれ、インドにも抜かれるかも知れないは・・人口差があるからわからないでもないが。

ドイツの人口は8482万人。日本の3分の2だ。通常なら抜かれる筈がない。
でも抜かれた、抜かれる理由を整理してみよう。23年以降急激に進んだ円安のせいは大きいだろう。物価高も影響するだろうドイツはロシアのウクライナ侵略でエネルギー価格が高騰、インフレが進んだことも理由としてあげられるだろう。

でもだ、それはこの1年余りのこと。本質は失われた日本経済の根本的な問題にあることは間違いない。1990年代以降のバブル崩壊やリーマンショックを経て、デフレとなり、日本の企業が稼いだお金を十分に賃金や国内投資に回せなかった。それと当時に円高の進行もあって、安い労働力を求めて製造業は生産拠点の海外展開を進め、国内産業は空洞化した。

それと今もそうだが・・・少子高齢化や人手不足への対応に何の手立てもせず。労働生産性の低さや女性の社会参画の遅れも目を覆いたくなる。ドイツにGDP
が抜かれるのは必然ではないか。このままの状態ならば、あっという間に、先進国と言われることが恥ずかしい状況になる。このまま行けば間違いない。

ではどうするのか。国民の意識を変えるのだ。ということになるのだろうが、そんな抽象的なことでは何の解決にもならない。日本とドイツは似通ったことがいくつかある。企業のうち中小が99%を占めるのは同じだ。ただ、中小製造業1社あたりの輸出額でドイツは日本の2.8倍である。

ドイツの中小企業の競争力の高さは、国内の研究機関や大学にも支えられている。新製品に必要な技術開発のバックアップを政府が徹底してやる。国も補助を惜しまない。中小企業のものづくりを国全体で支える仕組みができているから輸出額が多くなるのである。

ドイツでは国内で付加価値の高いものづくりを奨励。日本のように大企業が安易に海外に生産拠点を移すことを認めてこなかった。これも長期的な戦略があったからに他ならない。まぁ・・ここまでくれば、私が申し上げたいことが理解いただけると思う。

日本の中小企業を自由にさせろということである。そんなことはないというかもしれないが。日本の中小企業、とりわけものづくりはドイツの中小企業に負けるとは到底思えない。ただ、日本には多いのだ、金融機関の大企業優遇神話と事細かに決められている規制が。金融機関は雨降りの企業に資金は融通しない。中小企業が新たな取り組みを起こせば、必ず規制の罠に嵌められてしまう。これでは身動きが取れない。

話が逸れたが。要は国民の無関心である。ドイツにGDPで抜かれたことと、中小企業が躍進できないのは同じである。国民が中小企業の成長を望んでいないのが、この国の不幸である。残念である。Goto

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