グーグルへの行政処分に思う。

ネット広告の価格は果たして適正か?

グーグルが公正取引委員会(公取委)から行政処分された。
ご承知の通りである。問題はLINE(ヤフー)の「検索連動広告」事業の一部を制限したとして公取委の調査を受けた。そして独禁法の「確約手続き制度」に基づき改革改善計画を提出した。公取委の認定を待っている。

考えてみて欲しい。よく考えて欲しい。どうしてこんなことになるのか。この問題の経緯は・・・検索連動型広告とは検索サイトで入力した語句に合わせた広告が表示されるサービス。ヤフーは2010年からグーグルと提携し、スマホなどのポータルサイトに検索連動型広告を配信している。

ところが10年代半ば、グーグルはヤフーがポータルサイトに提供していた検索連動型広告をやめるよう要求。グーグルの検索エンジンが使えなくなるので、それを恐れてヤフーは要求を受け入れた。それが独禁法違反の私的独占に当たる可能性があると、22年に調査を開始。

今年の3月、確認手続き制度に基づきグーグルに違反の疑いを通知した。グーグルは公取委による調査開始を受け、ヤフーへの要求を撤回している。企業が違反行為をやめて改善に取り組むことを合意した場合、確認手続き制度に基づき、課徴金納付命令や排除措置命令といった処分は免除されることになっている。

でもです。公取委は16日、国会に新たな巨大IT規制法案を自民党に提示。スマホのアプリストアや決済システムの運営を他の事業者に開放するよう義務付け、違反には国内関連売上高20%分の課徴金を科す。独禁法による従来の課徴金に比べて3倍超となる破格の厳しい罰則案を国会で通そうとしている。

そうです。グーグルに対する公取委の目的、一つはアップルとグーグルによる市場独占の歯止めをかけるため。新法案は「スマホ特定ソフトウエア競争促進法案」で巨大ITに対して禁止・順守事項をあらかじめ定める「事前規制」の導入を狙っているのです。今国会で成立させた上で今年度末をめどに施行し来年から本格運用を目指す。

長々と説明したのは、欧州ではこんなことは既に実施されている。今更の話である。日本のオリジナルとか独自性ではない。この問題の本質は、検索連動型広告のみならず、ディスプレー広告もビデオ(動画)広告もその他のインターネット広告も・・・そうです。2兆6870億円に達しているネット広告市場は、全て米巨大IT企業に殺生与奪権が握られている。それをなんとかしたいのだ。

この問題、そもそも10年代半ばの話だ。それを22年に持ちだし、公取委が行政処分したなんて茶番です。そもそもがグーグルが独占するシステムだ。グーグル以外にないのだから手の打ちようがない。1兆円以上に上る利益を巨大IT企業に収奪されることへの歯止めが目的である。欧州ではそのことが論じられている。

私の感覚では、広告主に問題はないのか。インターネット広告の適正料金について、一度見直す必要はないのか。新聞広告なら根拠は発行部数である。テレビなら視聴率である。では、ネット広告はなんだ。法外な価格が設定されてはいないか。公取委が問題にすべきはそこではないかと思う。Goto

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