医師の働き方改革 

勤務医が1960時間も残業する異常は政治の責任ではないか?

韓国政府は「地方の医師不足解消に向けた医学部の定員枠の拡大を発表した。
3058人だった全国の医学部定員数を5058人に増やす。定員増の8割を地方医大の27ヶ所に配分する。医療界は医療の質の低下を招くと大反対している。

政府が「奇襲発表」で強行したのは、それほどまでに地方の医師不足が深刻だからである。教授会・研修医が反発、一斉辞表する事態に至ったとしても。政府がどこかで医師を増やすことに信念を持って実行しなければ、既得権益を壊すことはできないのではないか。

日本では勤務医の時間外労働に上限を設ける「医師の働き方改革」が4月から始まった。長年問題になってきた勤務医の過重労働は解消されるのか。医療にどのような影響が出るのか。極論を申せば、手術の途中で、ハイ。時間ですからと手術をやめてしまう。そんなことは、起こり得ないが。

「医師の健康を守ることで医療の質を担保する」それが「医師の働き方」改革の目的だ。韓国では医師の数を増やすと「医療の質が落ちる」ことが問題となり。日本では医師の働き過ぎが「医療の質を落とす」と問題になる。これってどこかおかしいのではないか。

私は思う。コロナ禍で招いた医療の問題は何だったのか。これ以上、コロナ感染者が増えると医療が崩壊すると、叫ばれた。医療崩壊を避けるために、あらゆる手段が講じられたのは、ご存知の通りである。喉元過ぎれば熱さ忘れ」というが、コロナ旋風が一段落したら、医療の抜本改革はどうなった。どこへいった。

昔・小泉政権の頃・行財政改革・構造改革が叫ばれた。その際、財務大臣だった塩爺こと塩谷正十郎は「母屋でお粥を啜って改革を断行しているの、別屋ですき焼きを食べている。この矛盾を解消せねばならぬ」と言ったのが忘れられぬ。

勤務医が24時間・休む間もなく働き続けているのに。開業医は高級車を乗り回しゴルフ三昧。これって、制度上に大きな欠陥があるのではないか。なぜなら、勤務医の労働過重は医師不足・医療スタッフ不足に起因する。そこを解決するには、日本は世界的に見ても人口当たりの医師数が少ないわけではない。

開業医に偏っているだけである。であれば、新規の開業を規制する。開業医の医療報酬を引き下げる。そして勤務医の報酬を大幅に上げる。政治がそこまで思い切った政策を打ち出せば、医師の働き方改革は現実味を帯びてくるのではないか。

でもです。自民党への政治献金がいちばん多い団体・それは医師政治連盟です。できるわけがない。いくら、労働時間を短縮することに罰則を設け規制を強化しても、患者を見殺しにすることなどできない。できるはずがない。それが医療従事者というものである。そう思いませんか。

韓国の政府は、医学部の定員を増やすという強行手段にでた。次には、医師は地方で勤務することを期限をつけて法制化するであろう。そうしないと地方が医療砂漠となって「命」が危険に晒されるからである。政権が変われば分からないが。医師の働き方改革が突きつける問題は、政治への決断であり、命を軽視する政治への指弾ではないかと思うが・・・言い過ぎだろうか。Goto

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