本を月に一冊も読まない人が6割を超えたと嘆くな・・・
文化とは何か。人間の生活様式の総称です。
それぞれの民族・地域・社会に固有の文化があり、学習によって伝習されるとともに、相互の交流によって発展するものです。
我々は時として。文化と文明を混同します。哲学・芸術・科学・宗教などの精神的活動は文化の範疇ですが、物質的所産は文明と呼び、文化とは区別されるものです。世の中が開けて生活内容が高まることは文明開化と申して文化とは少し違います。
なぜ今更、文化論を持ち出すかと申しますと、
文化庁が23年度の「国語に関する世論調査」の結果を公表。(5年に一度)
「1ヶ月に読む本の冊数」が電子書籍も含め「読まない」が過去最高の63%に上ったと新聞がセンセーショナルに報じたからです。
08年度の調査開始から、4割台を推移してきたが、今回急増した。
文化庁によると、調査対象の全世代が6割台に跳ね上がったのは初めてのこと。
出版業界からは「本を読まない人は2人に1人程度だ」という情報は聞いていたが。6割の人が本に触れない現実にかなりショックを受けたと。
文化庁は本を読まない人が増えると文化が廃れると考えているようです。
なぜ、「「読書離れ」が顕著になったのか。その理由は過去の調査では「仕事・勉強が忙しい」がトップだった・・・今回は「スマホやタブレットに時間を取られるから」の回答が46%でトップに。その結果、長文離れとなって、物事の思考が単純になって、本を読むことができなくなったのではないかと分析する。
時代が変わったといえばそれまでだが、果たして本を読まない原因がスマホだろうか?一概にそうではないと思う。もう少し掘り下げる必要があるのではないか。確かに人間に与えられた時間は誰もが平等で1日24時間しかない。
その時間の配分をどう使うかは個人の自由だが、本を読むべき時間が設定されているならば、その時間に別の要素が入り込めば、本を読む時間がなくなって、本を読まなくなったと言えるのだが・・・そもそも日常生活の中で「本を読む時間」を設定している人がどれほどいるのだろうか?
この調査では、本を読まなくても、SNSの投稿やインターネット記事には毎日触れている人は75%に上るという。 SNSの刺激的な短文に日常的に触れていると瞬間的な怒りの感情と結びつきやすい。デジタルは紙に比べて、記憶に残りにくい。
一方、紙の本を読むことは、新しい知識を得るだけでなく、登場人物に感情移入して喜怒哀楽を共にしたり、深く考えて内省したりすることで、人間形成にも大きな影響を及ぼす。一冊との出会いが、その後の人生を大きく左右することもある、と紙の本の価値を絶対評価する向きもあるにはあるが、些か強引な論である
私は本を読まなくなった理由は2点あると思う。
一つは経済的な問題。本の価格が高くなり過ぎた。出版業界の不況が続く。
売れないから、価格を上げる。上がるから可処分所得から情報得るための費用を本に回すことができない。この悪循環が本を読まないに繋がったのではないか。だから、今まで本に親しんでいた人は、図書館に走る。そのことも文化庁は調べるべきである。
もう一つは、情報を得るのがタダの時代になったことも大きい。
電波の情報・民放が発信するのは端末機さえあれば無料で見ることができる。
それは自分が好むものが得られないという欠点はあるが。ネット社会になって、どんな情報でも無料で得ることができるようになった。それも本のように自分の意思で入手できる。そうなれば、本を購入してまで読まなくても、必要な情報を得ることができる。であれば、本を読まなくなるのは必然ではないか?その視点がない。
「読書・月ゼロ冊」が6割を超えたと新聞はセンセーショナルに報じるが。
本を読む文化がスマホやタブレットを開く文化に変わったことが悪のように伝える必要はないのではないか。
なぜなら国民が情報を本から得るのも文化なら、
他の手法で得るようになったのも文化です。
生活様式は時代によって変わるものです。
本から学んだ情報によって、新しい文化が生まれてきたのは・・
そんな古い時代ではありません。印刷技術の普及によってですから。
本を読まなくなった人が増えたことを嘆く必要などない。
むしろ、ネットから価値ある情報を入手する人が増えないことを嘆くべきではないでしょうか。もちろん、私は本派ですが・・・でも本の価格って高い。Goto
コメント