反戦平和とは考えること

はじめての「子ども防衛白書」が突きつけた問い

防衛省が2024年度、初めて小学生から高校生を対象に紙媒体で制作し、公立学校への配布を想定した「まるわかり!日本の防衛白書 はじめての防衛白書」
この事実だけを見れば、私は一概に否定はしない。

安全保障をタブー視し、考える材料すら与えない教育は、健全ではない。自分の国がどのような環境に置かれ、どのような選択肢を持ち得るのか。それを子どもに“丁寧に”教えること自体は、むしろ必要だと思う。だが、問題は「誰が」「どの立場で」「どの責任において」教えるのか、である。

逃げ腰の連鎖――防衛省、文科省、教育委員会・毎日新聞が47都道府県の教育委員会を対象に行ったアンケート。回答は39道府県。そのうち配布を了承したのはわずか4県と未回答。17道県は「市町村教委の判断」と責任を下へ流し、他は「防衛省から話がなかった」と、まるで被害者のように振る舞った。文科省に至っては、「文科省が作成した冊子なら通達を出すが、関与していないものは預かり知らぬ」と、完全に手を引いた。

チグハグ、という言葉では生温い。
これは“国家としての教育責任の放棄”である。防衛は国家の根幹だ。であるならば、防衛省と文科省が正面から向き合い、内容を擦り合わせ、政府方針として、子どもに何をどう教えるのかを決めるべきだ。丸投げして、現場に判断を押し付ける話ではない。

白書の中身と、見過ごせない現実
子ども防衛白書は、抑止力の重要性を説き、中国、北朝鮮、ロシアといった国名を挙げ、日本周辺での軍事活動を説明する。2022年末に閣議決定された「国家防衛戦略」を踏まえ、「日本を強くする七つの分野」にも触れている。さらに、ウクライナを例に、防衛力不足が招いた現実にも言及する。

内容は、決して荒唐無稽ではない。
だが、ここで忘れてはならない背景がある。
自衛官の数は、2024年度で22万252人。20年から約1万人減少した。
法律上の定員は24万7000人。年間1万5千人の採用計画すら、満足に達成できていない。この白書が、将来の自衛官確保を意識していない、などとは私は思わない。

総選挙と、徴兵制という暗い影・・・・
そして今日、総選挙である。報道を見る限り、右傾化した勢力が圧勝する予測が濃厚だ。もしこれを、「自分の国は自分で守るという国民の意思」だと短絡的に解釈する政治が現れたなら徴兵制の議論が、一気に現実味を帯びる可能性がある。そこに踏み込むならば、私は黙っていられない。老骨に鞭打ってでも、身を挺して、阻止せねばならぬ。

それが、戦争を知る世代から引き継いだ、最低限の責務だと思っている。

反戦平和とは、考えることを止めない姿勢だ
反戦平和とは、目を閉じることではない。
現実から逃げることでもない。

だからこそ、子どもに安全保障を教えるなら、軍事だけでなく、外交、歴史、国際法、そして「戦争が人間にもたらしたもの」を同時に語らねばならない。

防衛白書を子どもに配るなら、その責任を、国家として引き受けよ。
逃げ腰のまま、現場と子どもに押し付けるな。子ども防衛白書は、日本が「どんな国でありたいのか」を、大人たち自身に突きつける鏡である。私はそう思う。Goto

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