災い転じて福となす

上半期、訪日客減少をどう受け止めるか

日本政府観光局によれば、2026年上半期の訪日外国人客数は2108万4800人。
前年同期比2.0%減となった。5年ぶりの減少である。

最大の要因は、中国政府が台湾有事を巡る高市首相の発言を受け、自国民に日本旅行の自粛を呼びかけたことだ。中国からの訪日客は56.4%減の205万人余りまで落ち込んだ。

しかし、数字は別の事実も示している。韓国からは18.6%増の567万人、台湾からは20.9%増の397万人、米国からも7.1%増と堅調である。そして訪日外国人全体の消費額は4兆8469億円と前年を上回った。客数は減っても、一人当たりの消費額が伸びたのである。

私は、この結果を決して悲観していない。
むしろ、これは日本観光を見直す絶好の機会ではないかと思う。中国からの団体旅行が減った今だからこそ、オーバーツーリズムへの対策、交通や宿泊、観光地の受け入れ体制、地域住民との共生などを丁寧に整備できる。もし将来、自粛が解除されても、より質の高い観光立国として迎えられる。

一方で、自粛が長引くならば、観光業界は韓国、台湾、東南アジア、欧米などへ営業を強化すればよい。逆境は知恵を生み、知恵は新しい市場を切り開く。まさに「災い転じて福となす」である。

コロナ禍で、観光産業がどれほど苦しんだかを私たちは忘れてはならない。あの時、日本中の観光地は閑散とし、多くの事業者が存続の危機に立たされた。その経験を「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で終わらせてはならない。

人間学では「逆境は人を鍛え、組織を強くする」と教える。順風満帆の時は現状維持で終わる。しかし逆風の時こそ、本質を見直し、改善し、飛躍する力が養われる。企業も国家も同じである。

そして何より嬉しいのは、2100万人を超える外国の人々が日本を訪れ、日本でお金を使い、日本を好きになって帰ってくれることである。観光とは単なる経済活動ではない。日本という国の文化、人柄、礼節を世界へ発信する外交でもある。

だから政治は、最も多く訪れる韓国との安定した友好関係を大切にし、価値観を共有する台湾との経済・人的交流をさらに深める努力を惜しんではならない。台湾を大切に思う日本人の心も、堂々と示すべきであろう。

最後は、数字ではない。
外国人観光客を迎える一人ひとりの「おもてなしの心」が、日本の評価を決める。笑顔、親切、思いやり、清潔さ、時間を守る姿勢――これらは日本人が長年培ってきた人間力である。

観光立国とは、観光地を増やすことではない。日本人自身の品格を磨き続けることだ。その積み重ねこそが、「また日本へ行きたい」という最高の土産話となり、世界中へ広がっていくのである。Goto

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