たかが風呂、されど風呂

2026年は「お風呂の年」湯に浸かる文化は日本人だけらしい。

一日、汗をかいて働き、湯船にゆっくり身体を沈める。何とも言えない至福のひとときです。

あなたは風呂がお好きですか。

2026年は「0(お)・2(ふ)・6(ろ)」の語呂合わせから「お風呂の年」だそうです。年間を通じての語呂合わせとは、誰が考えたのか分かりませんが、面白い発想です。

私が子どもの頃は、まだ内風呂のない家も珍しくありませんでした。三日に一度ほど、近所の銭湯へ通うのが楽しみでした。広い湯船に浸かり、湯上がりには牛乳を一本。そんな昭和の風景を懐かしく思い出します。

ところが、住宅事情が改善された昭和40年代以降、自宅に風呂があるのが当たり前となり、銭湯は急速に姿を消しました。2010年代初頭には全国で三千軒以上あった加盟銭湯も、今では約千五百軒。半減したそうです。

もっとも、日本人の風呂好きは変わりません。最近ではスーパー銭湯や日帰り温泉が人気を集め、入浴文化を支えています。

一方、欧米では入浴の歴史が少し違います。十九世紀末から二十世紀初頭、都市に流入した労働者や移民の衛生環境を改善するため、公衆浴場が整備されました。日本のように「湯に浸かる文化」ではなく、「身体を清潔に保つ文化」として発展してきたのです。

さらに興味深い話があります。

二十五年間、延べ七万人を対象にした入浴調査では、高齢者で毎日湯船に浸かる人は、週二回以下の人に比べ、三年後の要介護リスクが約三割低かったというのです。認知症やうつ状態のリスクも低下する傾向がみられたそうです。

本当だろうか、と半信半疑になります。しかし、入浴研究を続ける医師の調査だと聞けば、少し耳を傾けたくなります。

もちろん、入浴だけで健康長寿が約束されるわけではありません。それでも、身体を温め、血行を促し、心を落ち着かせる時間は、忙しい現代人にとって大切な習慣なのでしょう。

「たかが風呂、されど風呂」です。
私自身は清潔維持の朝シャン派ですが、毎日でなくても、ときには湯船にゆっくり浸かるのも悪くありません。

汗を流してさっぱりし、風呂上がりに冷えたビールをグイッと一杯。これが夏の何よりのご褒美です。

暑さはまだ続きます。
だからこそ、上手に汗をかき、ゆっくり湯に浸かり、英気を養う。日本人が長年育んできた入浴文化は、清潔のためだけでなく、心と身体を整える知恵でもあるのではないでしょうか。Goto

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