天高く馬肥ゆる秋

特定健診(メタボ健診)はなんのための制度なのか?
台風一過とは行かないぐずついた天候が続きますが、季節は嘘をつきません。食欲のあき、何を食べても美味しい季節になりました。しかし、美味しいからと、ついつい気を許して戴きますと、食べ過ぎてしまいます。
食べれば、そうです。日頃の鍛錬、腹筋もストレッチも、何するものぞと、遠慮なくウエストに脂肪がまとわり付いてきます。食べることは、人間の欲望です。抑えることはなかなか難しいですが。腹も身の内と申します。滋味の誘惑に負けない強い意志が必要ですね。
お腹の周りに脂肪が、といえば。医療費抑制効果を狙って1200億円超の国庫補助で「特定健診(メタボ健診)」制度が実施されています。何歳でウエストが何センチ以上はメタボ。成人病予備軍につき、運動するなり、食事制限をして自己管理を強めなさい。
できなければ、医者で治療を受けなさい。そんな乱暴な制度です。いや、乱暴というか、こんな制度は先進国にも例を見ない、どこか利権の臭いがする制度です。
厚労省の発案で、多額の国費を使っています。では、その結果、医療費抑制効果はどの程度か、そんなデータが表に出て来なければならないのに。豈図らんや、会計検査院が調べたところ約8割の3700万件が診療報酬明細書と合致せず、検証に活用できないことが判明したそうです。
なぜ、会計検査院なのか。特定健診とレセプトのデータを収集し、同じ人物のデータを付き合わせて追跡調査するシステムの運用を始め、その整備や運営費約28億円(14年度末現在)。何のデータも収集していない。これこれ、厚労省さんよ、なんの成果もないのに無駄遣いじゃないか、との指摘。
しかし、本丸はそうではない。国民の命を守るためと「特定健診」と位置付け、1200億円を国庫からに支出しています。会計検査院が指摘したいのは、メタボ健診の医学的な根拠など全くないにも関わらず、強引に制度を設け、それこそ、特定の医療機関と製薬や機器メーカーだけが潤う。そんな構図にメスを入れたかったのではないでしょうか。
天高く馬肥ゆる秋です。美味しいものをお腹いっぱい頂くのは良いですが。お腹周りの増幅と、メタボ健診はなんの因果関係もないことと、万が一健診を受けても、それは不安を増幅させるだけであるとご承知の上で、滋味をお楽しみ下さい。Goto

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