アドフラウド

広告の信頼を失うことに忸怩たる思いです。
随分前になります。静岡県のテレビ局がスポンサーにスポット広告を販売、
実際はその時間枠にCMを放送していないという事件が起こりました。
非常に稀なケースですが、如何にも単純なテレビCM詐欺事件です。
新聞広告の場合は新聞に広告が掲載され、広告主に掲載紙面が通知されます。
そんな馬鹿げた詐欺は起こりませんが、テレビは「時間を売る」商売です。
同じ時間を2社のスポンサーに売ることは物理的にできませんが・・・
スポンサーが常に確認しているわけではないので、時間が経過してしまうと
確認しようがありません。でも、免許事業である放送局には信頼がありそんな事件はまれです。
ネット広告は非常に複雑な仕組になっています。
国内のネット広告市場は拡大し続けています。21年度の市場規模は約2.4兆円です。
ネット広告の8割以上は広告主がユーザーの属性や地域性などを加味して入札で
枠を買う仕組みです。広告主はタイムリーにユーザーアピールでき、効率が良くなります。
広告費はネット上の表示数やクリックによって増減し、仲介業者などを通じて
サイト運営者側に支払われます。効果を偽装すれば広告費を簡単に詐欺できます。
サイト運営側がボット(自動プログラム)などを使えば多数のユーザーがクリックして
いるかのように見せかけれます。他にも広告商品の資料請求などを、自動的に繰り出す手法も。
こんなネット広告における成果(報酬)につながるインプレッション数や
クリック数を不正な方法で水増しし、広告主に不当な支払いを要求する詐欺の手口を
総称してアドフラウド(広告詐欺)と申します。
急増するネット広告市場です。
アドフラウドを防ぐにはどうしたら良いでしょうか。
現実に全体でどのくらいがアドフラウドなのか。それも分かりにくいのですが、
アドフラウド対策を専門とする会社の調査(2021年7~12月)では平均4.4%ではないかと。
私的には随分少な目の数字だと思うのですが、それでも市場規模から単純計算しても
1000億円は軽く突破します。放置して良いレベルではありません。司直の手が入る案件です。
米国ではアドフラウドを防ぐ取り組みが広告業界によって早くから進んでいます。
対策をとる事業者の認証機関を設立しています。認証事業者は審査などを厳しくして、
広告の質を保っています。日本でも昨年3月広告3団体が「デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)」を立ち上げ、11月からは米国と同様に、事業者の認証制度を始めたようです。
今月の6月1日時点で、広告会社やIT企業、テレビ局や新聞社など90社が認証を取得しています。
今後は認証が信頼のバロメーターになっていくでしょう。
政府もデジタル市場競争会議で「デジタルプラットフォーム取引透明化法」の対象分野に
ネット広告を追加する方針です。今秋からアドフラウドへの取り組み状況の開示や
広告主からの苦情・問い合わせへの体制整備を求めるとしています。
いくら対策を講じてもネット広告の複雑さからして不正をなくすことは容易ではありません。
広告の信頼性が疑われるのは同業者として忸怩たる思いです。
問題解決は広告主が信頼のおける仲介業者を選ぶことに尽きるのではないでしょうか。
中広にお任せ下さい。Goto

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