NHKタスクフォース(TF)

放送と通信の垣根などない。

国民の信頼を損なう行為だと・・新聞がやけに報じています。
どこが問題なのか?整理してみましょう。
NHKが番組のインターネット配信の基準に違反する不適切な
予算措置を講じていた問題です。

NHKは地上波の番組を動画配信サービス「NHKプラス」で提供しています。
この業務は総務省の「インターネット活用業務実施基準」で許可を得ています。
問題は「地上波は許可」だが「BS番組」はその範疇に入っていないことです。

ですから・・・BS番組も配信できるように前会長の指示のもと経営企画担当の役員を中心に「BS配信検討タスクフォース(TF)」を立ち上げ「24年4月からのサービス開始」を計画し、技術面や費用などの検討を始めました。

そのためにBS番組配信対応調整に関して9億円の予算を内部で承認し、
23年度予算に計上しました。認められていないことを検討するのです。
本来ならば、経営委員会・理事会の承認を得なければならない案件です。
だから問題になっています。

NHKは受信料で支えられています。
ガラス張り、透明性が常に求められています。
いくら若者を中心にテレビ離れが進むから、NHKもデジタル対応を急がねばならないとネット配信に前のめりになるという背景があるとしてもルールを
破ってはならない。

ましてやTFを組織するとは穏やかではない。
TFは元々軍事用語で、軍隊が特定の任務を遂行するために組む機動部隊のことを指します。もちろん、現在ではビジネス用語として、組織内部で緊急かつ重要な課題を解決するために一時的に編成され、課題を達成した時点で解散となるチームを指し示す場合に使われます。戦闘的ですね。

NHKの会長以下経営陣が、番組をネット配信することに緊急性があり、
地上波は許可されているのだから、早晩、BSの番組も許可されるべきであると考えTFを設けて検討を始めたことに、それに予算をつけたことにも、
矛盾はないと思います。

国民の信頼を損なう行為だとも思えません。
配信基準違反をしているとも思えません。

でもこんな大事になるのは・・二つの側面があります。
一つは近年、NHKが政治との距離を巡り、公共放送としてのあり方が問われているからです。元総務大臣が権力をフリかざしてNHKの番組内容に圧力をかけるかのような発言が問題になり、会長がそれを承諾した事件がありました。
番組の公平性です。

もう一つは、ネット業務をNHKの本来の業務に加えるべきかどうか、
総務省が煮え切らないという点です。なぜなら民放との公正な競争が阻害されるかもしれないという懸念です。受信料で賄うNHKの番組が、全てネットで配信されれば、そのコストをかけることのできない民放は圧倒的に不利になります。
ですから・・・総務省が及び腰です。

放送事業は許認可権を政府に握られています。
政治的な圧力とは常に戦いであります。NHKのみならず、民放も同じです。
ですから、放送事業者は・・・その点では団結して放送の自由は守らねばなりません。

それと、ネットとの関係です。
放送と通信は別物であるという考え方を、総務省はいつまで持っているのでしょうか。放送業者も同様です。今やネットは社会そのものです。通信と放送は同化すべき時代であります。放送事業には規制があり、ネットにはない。そんな状態をいつまで続けているのか・・・

そこにこの問題の本質があるのではないでしょうか。
私が言えることは、国民はNHKがTFを組んで、BS番組をネット配信しようと
していることに何の矛盾も問題も感じていない事実です。
にもかかわらず、規制の一部を振り翳して・・
こんな大仰な報道になるのは合点が行きません。Goto

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