経済学の基礎知識を学ぶようですが。
世界が不穏である。米国とイスラエル、イランとの戦争。停戦が成立したとはいえ、その実態も、終戦への道筋も見えてはいない。パキスタンや中国が仲介に入り、ひとまず二週間の猶予が与えられた。しかし、双方の主張はあまりにも隔たっている。米国はイランの核武装を許さず、イランはホルムズ海峡という生命線を手放さない。火種は消えていないどころか、地下で燻り続けている。
問題は、その影響を最も深く受ける国の一つが日本であるという現実だ。日本は原油の約9割を中東に依存している。この供給が止まるということは、単なる「ガソリンが高くなる」という話ではない。経済の根幹が揺らぐ事態である。
石油はエネルギーであると同時に、素材でもある。例えば、プラスチック製品の原料のほぼ100%が石油由来。食品包装、医療器具、家電部品、日用品の大半がこれに依存している。
化学製品に至っては、原料の約8割が石油関連であると言われる。さらに、輸送の約99%は石油燃料に頼る。トラックも船舶も航空機も、すべて石油なしでは動かない。電力も無関係ではない。火力発電の約3割前後は石油・天然ガスに依存している。
つまり、石油が止まるとは、「モノが作れない」「運べない」「売れない」という三重苦に直面することを意味する。供給が滞り、需要は変わらない。結果、物価は急騰する。
ここで現実味を帯びてくるのが「ハイパーインフレ」である。ハイパーインフレとは、一般に月率50%以上の物価上昇が継続する状態を指す。年率にすれば、数百%から数千%にもなる異常事態だ。過去の例では、通貨の価値は紙屑同然となり、パン一つの値段が数日で倍になる。給与は上がっても、物価の上昇に追いつかない。貯金は実質的に消滅し、年金も意味を失う。経済活動は混乱し、社会不安が一気に高まる。
日本がそこに至るとは考えられないのだが。しかし、エネルギー供給の長期遮断と急激な円安、物資不足が重なれば、その入口に立つ可能性は否定できない。では、そうなるとどうなるか。逃げずに考えてみる。(経済学の基本)
第一に、「現金だけに依存しない」ことだ。インフレ下では現金の価値は目減りする。生活必需品や長期保存可能な物資、あるいは実物資産への分散が必要になる。
第二に、「固定費を下げる」。生活の耐久力を高めることである。エネルギー価格が上がれば、住居費、交通費、光熱費が直撃する。無駄を削ぎ落とし、身の丈に合った生活に整えることが重要だ。
第三に、「複数の収入源を持つ」。社会が不安定になれば、一つの収入に依存するリスクは高まる。技能を磨き、どこでも通用する力を備えることが、生存力につながる。
第四に、「情報に流されない」。混乱期には不確かな情報が溢れる。冷静に事実を見極め、自ら判断する力が問われる。
そして何よりも大切なのは、「覚悟」である。人間は、平時には当たり前のように享受しているものの価値に気づかない。だが、有事は必ずそれを奪いにくる。原油が来ないなど、誰が本気で想像しただろうか。しかし、現実は常に想像の外からやってくる。
働くとは、生きることである。どんな状況にあっても、自らの役割を果たし、社会に貢献し続ける。その覚悟を持つ者だけが、混乱の時代を乗り越えることができる。
ハイパーインフレなど来ないに越したことはない。しかし、「備えあれば憂いなし」である。目を背けず、逃げず、直視する。その上で、静かに、しかし確実に備える。それが、今を生きる我々に求められている、人間としての責任ではないか。Goto


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