使命

プライドと使命、どちらを優先しますか?
出版不況。歯止めが掛らなくなったようです。
愛読書、雑誌の雄、文芸春秋も危ないと聞き、驚いています。
10日発売の新年号。メインテーマが「昭和の遺書53通」では笑い話にもなりません。
そういえば、最近の号、暗いテーマが多い気がします。広告出稿量の減少、部数の大幅な落ち込みに編集者マインドも萎んでいるのかも知れません。
来年の早い時期に、「文芸春秋の遺書」なんてテーマで、休刊にならなければ良いがと、心配です。
出版業界、ピーク時の96年には書籍、雑誌を合わせた販売合計2兆6564億円だったのが、08年は2兆円を大きく割り込んだようです。
これだけ、急激な落ち込みでは、パニック状態。出版界は優秀でプライドの高い人材が豊富。その分だけ、他の業種と比べて、対応が遅れるのではないかと、気を揉んでいます。
世界同時不況は、日本経済を急速に収縮させています。
あらゆる業界、業種が淘汰と再編の嵐に見舞われ、勝ち残りよりも、生き残りを賭けたサバイバルゲームに入ります。
出版界だけが、販売金額が減少し、返品率40%近い状態のまま、新刊書籍を約8万点以上も発刊するのは、粗製乱造のそしりを免れません。
知識人である出版人こそ、他の業界、業種に先駆け、大胆な淘汰・再編を推し進め、質の高い書籍を世に問う環境を作るべきです。
チョッピリ唐突ですが、それには、定価が保障される「再販制度」から出版を外すべきだと思います。商品の価値を決めるのは価格です。価格は国家の保護下に置く。そんなぬるま湯での競争は、商品価値を曖昧にします。
この大不況、生き残るためには一人ひとりが「力」を付けねばなりません。この際の「力」とは腕力でも、強靭な肉体でもありません。知を身に付けることによって芯を強くすることです。
知は良質な書籍に触れることによってのみ身に付きます。この国が芯の強い人材が必要であるとの意味でも、出版業界の社会的使命は重く、淘汰と再編を急ぐべきです。
文芸春秋が知の源泉として発刊が続きますよう。遺書などという暗いテーマを新年号に掲載しない文芸春秋でありますよう。出版業界の良識に期待します。
                              Goto
P1020115.JPG←文芸春秋1月号

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