長寿

日本の経常収支13年ぶりの赤字に思う。
日本が世界に誇れる冠たるモノは何だと思いますか?
基幹産業の自動車ですか?それとも半導体をはじめとする電気関連の産業ですか?
それとも、四季が織りなす日本の自然ですか?日本人の独特の文化である「もてなしの心」でしょうか?産業は近代国家日本が明治以降、民族の優秀さと勤勉さに裏打ちされて成し得たものですが、果たして世界一かどうか?疑問ですね。
自然は天の恵み。文化は農耕と村社会の産物です。冠たるものではなさそうです。他にないでしょうか?私は、現代日本が世界に誇れる最も素晴らしいモノは、「長寿」だと思っています。
最近、高齢社会の弊害が取沙汰されていますが、そんなことはありません。人類の恒久の願いは不老長寿です。世界一の平均余命の国であることは、全世界の憧れです。
それも、健康で老いることのできる社会は人類の理想です。これこそ、人類が追い求めているユートピア社会ではないかと思います。
日本はなぜ、世界一の長寿国になったのでしょうか?医学の進歩、発達。公衆衛生の徹底。食の改善など、様々な要因に基づくでしょうが、根本は、戦後「貿易・投資立国」として、国に富をもたらしたからです。
外国との間のモノやサービスの取引収支や対外投資に伴う海外からの配当・利子などの所得収支が一時期を除き、高度経済成長期以降、経常収支が大幅に黒字だったからです。
その豊さを背景に、社会インフラを整備し、医療・食料環境が充実してきた結果、国民は長生きができるようになったのです。衣食住足りて礼節を知ると申しますが、国富んで、寿命延びるです。
その国の経常収支がこの一月、13年ぶりに赤字に転落しました。この赤字は、異常な外需の冷え込みからして一過性のものではありません。「貿易・投資立国」日本に陰りが訪れたと言っても過言ではないと思います。
まだ、大半の人たちは、経常収支の赤字転落が持つ深刻さに気付いていませんが。国が豊かになるには何十年もの時間が必要ですが、国力が衰退し、国民生活が脅かされるのは、崖から転げ落ちるようなもの。アッと言う間です。
百年に一度の経済危機だから、時間が経てば、そのうち回復するだろうなどと、安穏としていますと、世界に冠たる日本の誇れる長寿なんて、すぐに吹っ飛んで終います。
高齢者の入り口に佇む団塊世代としては、国際収支をとやかく言える立場でも無いのですが、
我々が後期高齢者になる頃は「楢山節考」時代に戻るかもしれないと思うと。
この経常収支の赤字を睨んで、経済の豊かさを維持するには何ができるのか?豊かでなくなったらどう対処するのか?を一人ひとりが、真剣に考えなければならない、由々しき事態だとの、認識が必要だと思うんですが。
所詮、資源のない日本。
人がすべてなんだとの、原点に返る時かもしれませんね。
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